FOLLOW US

UPDATE|2021/08/07

リング上で火炎を噴射! 30年前に存在した地上波NG超過激プロレス団体「W★ING」とは?

今回、W★INGに関する書籍が初めて出版される

 
そんな団体がなんで2年7カ月で崩壊してしまったのか? その理由は『W★ING流れ星伝説』で詳細に描かれているが、ひとつの要因としてはテレビ中継がなかったことがあげられる。この時代、プロレス団体は地上波放送がなければ存続できない、というのが常識でジャイアント馬場の全日本プロレスが日本テレビ、アントニオ猪木の新日本プロレスがテレビ朝日、そして全日本女子プロレスがフジテレビで試合中継されていた。各団体はテレビ局から放映権料を得て、それが団体運営の大きな資金となっていたのだ。

W★INGは地上波での中継を実現することができなかった。いや、それ以前の問題として、あまりにも過激すぎてとても地上波では放送できなかったのだ! 前述したバルコニーダイブもそうだが、リング上で火炎噴射をして全身が燃えてしまったり……などということは消防法が厳しくなってしまった現在では、もはや再現不能。コンプライアンスなどという言葉がまったく浸透していなかった30年前だからこそできた試合形式ばかりだった。

そう、再現不能だからこそ、崩壊から27年経った今でも、ファンは当時のことを懐かしみ、いつまでも語り継がれているのだ。90年代初頭のカルチャーが『平成レトロ』として注目されるようになった昨今、まさにW★INGは「プロレス界の平成レトロ」として令和の世に再ブレイクしている、ということなのである。

一部のマニアにしか知られていない短命に終わったプロレス団体が、30年経ってもいまだに愛されているという現象は、まるで現代のおとぎ話。こんなめちゃくちゃで破天荒なプロレス団体が実在した、という事実を改めて確認してみると、昭和の空気が色濃く残っていた平成初期の独特の文化をより深く知ることができるかもしれない。つまりW★INGは令和の時代に再評価されてしかるべき「プロレス文化遺産」なのだ!

▽『W☆ING流れ星伝説 星屑たちのプロレス純情青春録』
著者 小島和宏
8月11日双葉社より発売

【あわせて読む】人気ステーキ店を営む元プロレスラー・松永光弘の、貯金通帳残高ゼロの絶望から店をV字回復させた驚愕の経営術

RECOMMENDED おすすめの記事