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UPDATE|2022/02/09

南果歩が出産、乳がんを経験して感じたこと「命以上に大事なものはないなと痛感」

南果歩 撮影・田中健児



――2016年に乳がんという大病を患った経験も大きかったのでしょうか?

南 大きいですね。私の場合、出産のときも妊娠高血圧症候群と診断されてギリギリのところまでいきました。乳がんのときも、たまたま早期で見つかったから、こうして仕事も復帰できていますけど、命以上に大事なものはないなと痛感しました。病気を経験して分かったことは、辛いなと感じたときは、仕事でも人間関係でも我慢せずに「逃げる」ということです。どんな不義理があったとしても、お返しは後でもできることなので、まずは自分の命を守ることが大事です。それは『乙女オバさん』を通して伝えたいことの一つです。

――今後も執筆活動は続けて行こうと考えていますか?

南 はい。今回の書き下ろしを書くにあたって、物書きの知人から「毎日書くことが自分を鍛えるトレーニングになる」というアドバイスをいただきました。もともと文章を書くのは好きですし、友人の死や乳がんのことなど、なかなか言葉にしにくかった過去とも、じっくり向き合えました。仕事柄セリフをたくさん発しているので、鍵括弧の部分が好きなんです。なので今後は小説やシナリオにも挑戦していきたいですね。

――改めてどんな方に『乙女オバさん』を読んでもらいたいですか?

南 「乙女オバさん」は私が作った造語ですけど、毎日に息苦しさを感じていたり、辛い思いをしていたり、それでも夢見る気持ちを持っている人たちを称した言葉です。十代二十代でも、「私はおばさんだから」って言う人がいっぱいいるじゃないですか(笑)。そういう自称おばさん、本当のおばさん、自称乙女、本当の乙女、いろんな人たちに読んでほしいです。幼少期に寂しい思いをした人、出産を考えている人、シングルマザー、離婚や病気を経験した人など、いろんな人たちに当てはまる要素を、たくさん私は経験してきました。

少しでもアンテナが動くものがあれば手に取ってほしいです。私の人生は失敗ばかりですけど、失敗しながらでも、人間は何度でも再生する能力を持っているということを、みんなで共有できたらうれしいです。
AUTHOR

猪口 貴裕


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