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UPDATE|2022/07/17

偉大すぎるアーティストを兄にもつ男の苦悩を今井翼が体現『TELL ME ~hideと見た景色~』

『TELL ME ~hideと見た景色~』 (C)2022「TELLME」製作委員会

1998年5月2日、衝撃のニュースが世間を騒がせた。X JAPANのギタリストとして、ソロアーティストとして活躍していた“hide”が突然亡くなったのだ。hideというアーティストを名前しか聞いたことがない、もしくは全く知らない人が観ても重圧な人間ドラマとして見応えのある作品『TELL ME ~hideと見た景色~』が7月8日から全国公開されている。

【写真】映画『TELL ME ~hideと見た景色~』場面カット【10点】

今も語り継がれる偉大なアーティストの伝記映画、音楽映画としても機能しているが、本作の本質は”兄弟”の物語。

自殺や事件など、多くの憶測が飛び交う裏で、人一倍に遺されたものの大きさ、救えなかった責任といった、重圧に押しつぶされそうになっていた男がいたことを知っていただろうか。それはhideこと松本秀人の実の弟で、パーソナル・マネージャーでもあった松本裕士だ。2004年に出版された「兄弟 追憶のhide」では知られざる真実と、兄への想いが詰まっていた。本作はその本を元に、『今日も嫌がらせ弁当』(2019)や『僕と彼女とラリーと』(2021)などで知られる塚本連平監督によって映画化された、松本裕士の視点から、hideという人物を描いた物語なのだ。

いつも兄と比べられ、両親も兄の方を大切にしていることがわかっていた。常に家庭や学校の中で疎外感を感じつつも、決して兄が嫌いというわけではなかった。比べられる人生から離れるため、別の道を進み距離をとっていた。そんな音楽に対して全く知識のない裕士が、hideのマネージャーになることへの反発は肌で感じていた。

性格も正反対のようで、音楽の知識もない自分を、なぜ兄はマネージャーに選んだのだろうか……。hideが亡くなったことで、その疑問はわからないままとなってしまった。自分がもっと気を配っていたら、自分がマネージャーにならなかったら、今でも兄は生きていたのではないか……という考えが、どうしても頭を離れない。

悩んでいても残酷にも時は過ぎていく。追悼イベント、制作中だった曲の完成、会社の存続など、死を悼む隙も与えられないほどに次々と困難が裕士を襲い、亡くなったことをビジネスに利用するなという心無い言葉が彼を苦しめる。それでも兄の遺したものを伝えたいという責任と義務、そして何より兄弟の絆が丁寧に描かれている。

そんな松本裕士を演じるのは今井翼。1995年から芸能活動をスタートさせ、ドラマや舞台では主演も務めてきたが、実は本作が映画初主演。実の兄弟なのに妙な距離感と不慣れなマネージャー業ながらも、hideというアーティストが遺してもの、そして兄の遺したものを守りたいという松本裕士の気持ちを体現し、代弁してみせた。

【ストーリー】
1998年5月2日、X JAPANのギタリストとして、ソロアーティスト(hide with Spread Beaver/zilch)として活躍していた、日本を代表するロックミュージシャンhideが急逝。葬儀には約5万人が訪れ、日本中が早すぎる別れに涙し社会現象に。hideのマネージャーを務める弟・松本裕士(ひろし)は、兄hideと過ごした子供時代から今までの日々を思い返していた――。制作途中だったアルバム、そして既に決定していた全国ツアー、hideの音楽を世に届けたい。兄の意志を継いだ裕士は、hideと二人で楽曲を制作していたhideの共同プロデューサーI.N.A.ら仲間たちとともに動き出す。hide本人不在という異例の状況下で奮闘する裕士とI.N.A.だったが、彼らの前に様々な困難が立ちはだかる…。

出演:今井翼 塚本高史
JUON 津田健次郎 細田善彦
川野直輝 / SHINGO☆ 笠原織人 くぼゆうき 片岡麻沙斗
朝倉伸二 山下容莉枝 / 田島令子

監督:塚本連平
脚本:福田卓郎 塚本連平
原作:松本裕士「兄弟 追憶のhide」(講談社文庫刊)
原案協力:I.N.A.「君のいない世界~hideと過ごした2486日間の軌跡」
       (ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)
配給:KADOKAWA 
製作:映画「TELLME」製作委員会
©2022「TELLME」製作委員会

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