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UPDATE|2022/10/14

"真説"と"新説"…ダイアナ妃没後25年にドキュメンタリーと劇映画が連続公開

『スペンサー ダイアナの決意』(C)2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED

先日、日本でも大きく報道されたエリザベス女王の国葬。英国王室は憧れの存在である反面、ゴシップ誌の標的となり、海外セレブのようにも扱われてきた独特の存在だ。イギリスという国を背負った、伝統と格式そして富の象徴でもあり、ある種の型にはまった、改革の必要ない絶対領域ともいえる。

【写真】地雷敷設区域を訪れたダイアナ妃の写真は瞬く間に世界に拡散された

そんな英国王室に突如、現れたのがダイアナ・スペンサー。写真集なども発売され、1986年に来日した際には、ダイアナ・フィーバーといわれるカリスマ的人気も博した。一方、スキャンダラスな存在でもあり、夫であるチャールズ3世よりも目立っていたことから、王室側からは煙たがられる場面も多かった。その結末が悲劇的な事故死という誰もが信じがたいものだったこともあり、世界中の多くの人に鮮明な記憶を残している。

公表されていない、できない事実も多く、ミステリアスな存在でもあることから、様々なドキュメンタリーが制作されてきた。

ドキュメンタリーの巨匠エド・バーキンズがメガホンを取った『プリンセス・ダイアナ』(9月30日公開)は、ナレーションをほとんどいれず、彼女の行ってきた功績を淡々と見せることに重点を置いた。王室が監修したり、極端に事実が捻じ曲げられていたりといった作られたものではなく、貴重なアーカイブ映像を繋ぎ合わせることで、少女だったダイアナが成長していく様を見事にまとめあげた、正に決定版である。

またその一方で、10月14日から公開される『スペンサー ダイアナの決意』は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などの賞レースでも話題となった作品で、ちょっと変わったアプローチの作品となっている。

ダイアナを描いた劇映画としては、過去にもナオミ・ワッツ主演の『ダイアナ』(2013)があるが、これはチャールズ3世と離婚後、ハスナット・カーンと交際していた時期をメインに描いており、ダイアナの純粋さや弱さを描いたものとなっていた。他にも英国王室を描いたNetflixの人気ドラマシリーズ『ザ・クラウン』でも、ダイアナの物語が描かれている。またプレビュー版がNetflixでも配信されたミュージカル『ダイアナ・ザ・ミュージカル』(2021)は、ラジー賞(ゴールデンラズベリー賞)の標的にされてしまったが、イギリスの曲にのせてダイアナの恋愛事情が描かれており、なかなか斬新な作品であった。だが、今作は言うなれば、非常に”ロック”な作品となっている。

今作で描かれているのは、チャールズ3世との関係が破綻している中でのクリスマス休暇の限定的な数日間。伝記映画とは違った、かなり誇張された寓話として、ダイアナの気持ちの内側を容赦なく描いていることため、観ていると終始ダイアナが可哀そうになってくる。

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