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UPDATE|2023/02/18

「選挙戦は無料で楽しめるフェスでありプロレス」時事芸人・プチ鹿島に聞いた政治のエモさ

プチ鹿島 撮影/松山勇樹

「ニュース時事能力検定」1級にして、新聞 14 紙を毎日読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルのニュースを、ユーモアを交えての鋭い切り口で読み解く時事芸人のプチ鹿島氏が、監督・出演するドキュメンタリー映画『劇場版 センキョナンデス』が2月18日に公開となる。選挙の度に投票率の低さが取り沙汰されている昨今、「選挙はフェスだ」と言い切り、その面白さを積極的に発信しているプチ鹿島氏に、選挙戦の魅力を語っていただいた(前後編の前編)。

【写真】時事芸人として活躍するプチ鹿島

──毎回、選挙の度に投票率が低いこと、特に若年層が選挙に行かないことが問題視されています。けれど、政治って難しい印象があって、なかなか興味が持てないというのも正直なところあるのかなと。

プチ鹿島(以下鹿島)選挙っていうとちょっとお堅い感じだし、実際にいまの投票率って、過半数をちょっと超えているくらいだから、おおよそ半数の人は興味ないわけなんですよね。そういう人たちにこそ『劇場版 センキョナンデス』を観てもらいたいんですよ。なんの政治知識もいらないんで。というのは、そもそも僕とダースレイダー(ラッパー)とで「ヒルカラナンデス」って時事ネタトーク番組をYoutubeで配信しているんですが、なぜそのふたりが選挙の現場を見にいくことになったのかというと、『なぜ君は総理大臣になれないのか』っていうドキュメンタリー映画がきっかけなんです。

──衆議院議員の小川淳也さんに17年間もの長い期間、密着したドキュメンタリー映画ですね。地盤も知名度も選挙資金もなしで選挙活動を始めた小川さんの地元の対抗馬は、当地の有力メディア「四国新聞」や「西日本放送」のオーナー一族の出身で、強固な地盤を持つ自民党の平井卓也さんで、なかなか勝つことができないという。

鹿島 そう。この映画は、立憲民主党の小川さんと、自民党の平井さんとの対立構造がわかりやすくて、しかもどっちもキャラが強いんですよ。そのふたりが2021 年の10月31日の衆院選で、再びぶつかるという。ビッグマッチですよね。しかも『なぜ君は総理大臣になれないのか』を撮った大島新監督が、現場に乗り込んで続編を撮るっていう。僕はヒリヒリした現場を見たいっていう野次馬体質なんで、これはすごく面白いものが見れるんじゃないかって沸き立っちゃって、香川一区に乗り込んだわけです。那須川天心対武尊の試合を観戦しにいくみたいな。しかも四国には讃岐うどんもあるし。いわば漫遊です。

──なるほど、選挙は格闘技の試合くらいエキサイティングだと。プチ鹿島さんは双葉社から『教養としてのプロレス』という本も出していらっしゃるくらいプロレスがお好きなんですよね。

鹿島 プロレスと政治も似ているところがあるんです。僕、子どもの頃にプロレスを観始めたんですけど、軍団抗争ってあるじゃないですか。誰が団体を辞めて、誰が新団体を立ち上げてってリアルな人間劇があるわけですよ。一方で父親が買ってくる週刊誌なんかを見ると、田中派とか、鉄の結束とかね、プロレスの軍団っぽいじゃないですか。派閥を追われて新団体を旗揚げする竹下登とかがいたりして。人間の欲望や野心をいかに大義名分に変えて、多くの人に訴えるっていう点で、プロレスと選挙って同じだなって。


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