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UPDATE|2023/02/18

時事芸人 プチ鹿島「人が土壇場でどういう振る舞いをするか。選挙は人間の器を見られる絶好の機会」

プチ鹿島 撮影/松山勇樹

「ニュース時事能力検定」1級にして、新聞 14 紙を毎日読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルのニュースを、ユーモアを交えての鋭い切り口で読み解く時事芸人のプチ鹿島氏が、監督・出演する『劇場版 センキョナンデス』が2月18日に公開となる。ラッパーのダースレイダーとともに2021 年10月31日の衆院選、2022 年7月10日の参院選で、合計十数人の候補者に突撃取材したドキュメンタリー映画だ。現地に足を運び、数多くの候補者の姿を目の当たりにして、プチ鹿島は何を感じてどう考えたのか、話を聞いた(前後編の後編)。

【前編はこちら】「選挙戦は無料で楽しめるフェスでありプロレス」時事芸人・プチ鹿島に聞いた政治のエモさ

【写真】時事芸人として活躍するプチ鹿島

──2021 年の衆院選では香川1区に突撃していますが、現地はどんな印象でした。

プチ鹿島(以下鹿島)僕は香川1区でいうと、平井陣営を見たかったんです。香川1区から出馬した平井卓也さんって、初代デジタル大臣ですけど、平井さんの弟は四国新聞の社長で母親が社主なんですよ。で、普通の新聞社は例えば、自分のところの親族が立候補したとしても、フェアに扱うじゃないですか。けれど四国新聞はめちゃくちゃ平井推しなんです。対立候補についてはすごく悪く書くし、本人のコメントも取らないで批判を載せたりしている。そんなの平井陣営の帝国じゃないですか。その未知の帝国感を目の当たりにしてみたかったんです。

──実際に目の当たりにされてどうでした?

鹿島 帝国感はあったし、「潜入しちゃったけど、これ、無事に帰れるの?」って映画の『アルゴ』みたいな気持ちになりましたよね。地元の新聞を見たら、平井陣営は選挙戦の最終日にパレードをするって告知されていたんです。パレードってどんな感じだよと。やっぱりすごい人数の人が動員されているのかな、とか期待しますよね。まぁ、実際は意外とそうでもなくこじんまりとしていた。そういうギャップがドキュメンタリーとして面白いかな、と。

──平井さんの印象はどうでしたか。

鹿島 平井さんにはなかなか会えなくて、投票前日の夜、あともう数時間ってところで、シンデレラに会いに行く気分で、街頭演説の場所に向かっていたら、風にのって「デジタル、デジタル」って連呼が聞こえてきて。当時、平井さんはデジタル大臣を辞めた直後だったんですが、それでも自分は初代デジタル大臣だって自負があるから、とにかく「デジタルの!デジタルの!」って言ってる。本当に3秒に一回くらい。報道で知ってはいたものの、もうおかしくて仕方がない。現場で答え合わせが出来ましたね。

──2022 年7月の参院選では、大阪がメインとなっていますが、その理由は?

鹿島 僕の野次馬としての嗅覚が「大阪が面白いんじゃないの?」って。東京に住んでいると、維新の強さってよくわからないから、潜入してみたいっていうのもあったし、あと去年の今頃に菅直人さんがTwitterで急に維新を批判し始めて、バトってたんですよ。その菅直人が大阪選挙区の立憲の公認候補予定者を支援する特命担当に就任したっていうんで、それは絶対に現地はバチバチに盛り上がるじゃないですか。香川1区と同じ匂いを感じたので、これは行くしかないぞと。

──現地に行っていかがでしたか?

鹿島 自民も、立憲も、共産党も、維新も、会える候補者にはみな会いにいきましたが、最初に必ず「手応えはどうですか?」って聞いたんです。だいたい皆さん、「あ、いいです」って、応えてくれるんですが、ちょっと弱ってる人は「うん?」ってそこの時点で止まっちゃったりとか。意地悪な言い方をすると、10人いれば、何人かは切羽詰まっている人がいるわけですよ。そういう人が土壇場でどういう振る舞いをするか。これは人間としての器を見る絶好の機会なんですよ。


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