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UPDATE|2023/03/07

くりえみが語る、起業家で“脱ぐ”ことのジレンマ「『落ちたな』と見られることも」

くりえみ 撮影/山田健史



──くりえみさんが現在のような起業家としての活動をしようと考え始めたのはいつ頃からですか。

くりえみ 以前いた事務所を辞めた頃、「雇われて働くのはもう終わりにしたい」と考えるようになりました。それで24歳くらいの頃に起業をして、個人事務所を作ったんです。「私は誰かに言われて何かをするのは向いていない」ということに気付いたので、その後も事務所に所属はしましたが、「私自身のクリエイティブ活動を優先してもらえること」を第一条件にしています。誰かのサービスを使うことよりも、自分で考えて自分が作るものにすごく価値を感じるようになったんですよね。

──そういう考えに至るまで、どなたか影響を受けた人はいますか。

くりえみ 投資家の知り合いで影響を受けた人はいます。時間にすごく融通が利く上に、普通の人が一生で働いて得るような金額を数カ月で得ているのを見て、「そういう人も世の中にはいるんだ」と驚きました。それからは自分という素材を使って最大にお金を稼ぐことを考えるようになりました。

──くりえみさんの活動のモチベーションは、成功の果てにある「時間」と「金」ということですか?

くりえみ そう思うじゃないですか(笑)。でも実は私、時間もお金も本当はあまりいらないんです。確かにお金は好きだし欲しいんですけど、お金を得てブランド物のバッグが欲しいわけではない。「お金を稼ぐ」というゲームが楽しいだけなんです。

──成功する過程を楽しんでいるんですね。

くりえみ そうです。どんどんと自分の成功例を作っていく作業が楽しい。最低限、自分の好きな人や家族を守れるお金は必要だけど、それ以上に自分で何かに使いたいということではないんです。

──起業家として上手くいかなかったり、つまずいたような経験はありますか?

くりえみ 自分自身でつまずいたと感じているわけではないですが、周りからそう見えるとすれば、今がその時かもしれません。私の会社は投資で成り立っていたんですが、常に新規投資があったので、それを運用資金にしてサービスを回していたことで自転車操業のようなところがあったんです。ところがつい最近、新規投資が止まることになった。投資がないとサービスを回せないので、今は一旦、サービスを他の会社に売却することを考えています。それを“失敗”と言う方もいると思うんですけど、私にとっては勉強になる機会だったんですよね。自分が至らなかった点を考えるきっかけにもなりました。サービスがグローアップしていく過程で、いつか売却することにはなっていたと思うので、今この段階でそういう知識を身に付けられたり、いろんな人脈に出会えたりしているのはむしろ成功かなと捉えています。

CREDIT

取材・文・撮影/山田健史


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