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UPDATE|2023/05/02

ヒューマンドラマとしての『教場0』、新垣結衣が見せた説得力と、風間公親がラストに送った言葉

『風間公親―教場0―』(フジテレビ)公式サイトより


 スポットライトが当たるのは犯人だけではなく新人刑事も同じ。1~2話は瓜原潤史(赤楚衛二)、3~4話は隼田聖子(新垣結衣)が新人刑事として風間とバディを組むことになるが、事件を通しながら、風間の厳しい指導を受けながら、それぞれの新人刑事が抱える過去と向き合い克服して成長する姿は心に響く。

 特に4話で見せた聖子の吐露は印象的。聖子は犯人である萱場千寿留(生見愛瑠)が娘に虐待している可能性を追求することに躊躇していた理由として、「娘がうるさくて。朝だって早く起こそうとする。『疲れてる』っていうと泣き出す。泣かれると頭が痛くなって。『静かにしてくれるなら』って…」と元夫が娘を虐待していたにもかかわらず、見て見ぬふりをした過去を告白する。

3話では聖子と娘は仲良し親子に見えていただけにそのギャップだけでなく、「うるさくて」「泣かれると頭が痛くなって」というシンプルではありながらも鋭利な言葉に、新垣の演技力との相乗効果もあり、一気に聖子という存在を身近に感じられた。

 だからこそ、4話ラストに風間が聖子に送った「子育てしながら警察で働く者として意見書をまとめてくれ。少年係に戻ったら君にはやることは山積みだ。虐待に苦しんでいる子供、悩んでいる親、みんなが君を必要としている」というセリフの優しさには胸にずしんと来る。設定、台本、演技など、様々な要素が噛み合っており、魅せるシーンでの心の掴み方に驚かされてばかりだ。

 そして、5話ではついに遠野章宏(北村匠海)が登場する。遠野と風間に待ち受ける未来は『教場II』のラストシーンで描かれており、それ思うと苦しさがこみあげてくるが、ミステリーだけでなくヒューマンドラマとしてもここから一気にギアがあるだろう。ますます楽しみに放送を待ちたい。

【あわせて読む】木村拓哉の入念な役作りが光る『教場0』、風間公親はいかにして鬼教官になったか
AUTHOR

望月 悠木


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