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UPDATE|2023/05/19

春アニメ『スキップとローファー』がまぶしすぎる理由、青春ど真ん中の女子高生たちのモノローグ

『スキップとローファー』(高松美咲/講談社)

豊作の春アニメの中でも『スキップとローファー』(TOKYO MXほか)は一際まぶしく見れる。石川県から高校進学のために上京した女子高生・岩倉美津未の高校生活を描いた本作。壮大なバトルが勃発するわけでもなく、いじらしい三角関係が繰り広げられるわけでもない。ただただ何気ない高校生の、何気ない日常が展開されるだけ。それでも各登場人物の心理描写が綿密に表現されており、ついつい引き込まれてしまう。

【写真】原作は100万部を突破した『スキップとローファー』

まず主人公である美津未は青春アニメのわりにかなり地味な見た目をしており、キャピキャピしていないためどこか安心感を覚える。そんな美津未は都内屈指の進学校に主席で入学した才女で、かつ「名門大学に進学して首席で卒業した後は総務省に入る」「定年後は石川県に戻って市長になる」など、高校1年生の段階で壮大な人生設計を考えているしっかり者。

しかし、入学式で吐瀉物をまき散らしたり、自己紹介の際にウケようと思ってジョークを言ったらキンキンにすべったりなど、抜けている部分も少なくない。そのギャップがクラスメイトだけでなく、視聴者に嫌味のない可愛らしい女子高生という印象を与えてくれ、とても好感が持てる。

好感が持てる要因として、モノローグの多さも挙げられる。美津未は「中学校は8人きりだったから、人間関係がこんなに難しいなんて思ってませんでした」「そもそも、なんで私に友達になろうって思ってくれたんだろう」といった、誰もが一度は感じたことのある不安や葛藤を心の声として頻繁に口にする。

そんな“しょうもない本音”を聞かされ、自分なりに悩み抜いて答えを出す姿を何度も見せられるのだから、応援せざるにはいられない。ただ、モノローグは美津未だけではない。各登場人物の心の声がよく聞かれ、それぞれが抱える葛藤が伺える。
AUTHOR

望月 悠木


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