FOLLOW US

UPDATE|2023/05/17

『教場0』ラスト10分の怒涛の展開、北村匠海が魅せた人間的魅力と“あらかじめ約束された悲劇”

『風間公親―教場0―』(フジテレビ)公式サイトより

5月15日(月)に『風間公親-教場0-』 (フジテレビ系) の6話が放送され、クライマックスに向かって一気に加速していく怒涛の展開が見られた。『風間公親-教場0-』の前日譚として、2020年に『教場』、2021年に『教場II』が放送されており、 『風間公親-教場0-』ではこの後に風間公親(木村拓哉)の身に起こることは、ある意味“ネタバレ”されている。そして、風間と一緒に悲劇遭う遠野章宏(北村匠海)が4話ラストに登場したことから、6話で風間に逮捕された過去を持ち、風間に対する恨みを持つ殺人鬼・十崎(森山未來)に2人が襲撃されることも把握済み。

【関連写真】『教場0』に出演、新垣結衣、話題の写真集未公開カット

それだけ“5~6話で遠野の魅力が出れば出るほど胸が苦しくなる”というジレンマを抱えなければいけない内容だった。遠野は5話の犯人だった戸守研策(水沢林太郎)に油断してしまい隠し持っていた千枚通しで手首を負傷する。このことを風間に厳しく叱責されるが、6話では犯人の向坂(筒井道隆)を追い詰めた際に、動いて画材を手に取ろうとする向坂に「動かないで。手を放してください」と注意。成長を見せる遠野の姿に微笑ましくなる。

また、「刑事になりたい」という夢を応援してくれていた、病死してしまった友達の想いに応えるべく刑事になるために今日まで頑張ってきた、という遠野の軌跡についての話も披露され、ますます遠野という人間の魅力に心を奪われる。

視聴者だけではなく、風間からは車の運転を任されたり、先輩刑事の谷本(濵田崇裕)と尾山(結木滉星)からは事件現場に群がる人達を撮影するために鑑識からわざわざ借りてきたカメラを渡されたりなど、周囲の人間も遠野という人間に魅了されていく。人柄だけでなく“刑事”としての信頼を獲得するようになった。

向坂を無事に確保した後、宝石店強盗が現れた桜木町への応援要請を受け、2人は車で向かう。張り込みは夜まで続き、不穏なほどの大雨が降りしきる。そして、全身黒ずくめの十崎を見かけた遠野は、「勝手に持ち場を離れるな」という風間の命令を無視して、「大丈夫です」と言って1人でビルに入って後を追う。

数十秒後、数分後に良くないことが確実に起きることがわかっているだけに、視聴者としても気が気ではない。その後、十崎を追った遠野が「すいません、見失いました」と口にしながら扉から姿をひょこっと姿を見せ、傘を広げた瞬間に十崎に千枚通しでめった刺しにされ、透明の傘の内側を鮮血で染め上がる。遠野の無事に安心感を覚えた、わずか1~2秒の展開だけに感情が追い付かない。

とはいえ、ドラマの展開はそんな視聴者の感情を待ってくれるわけでもなく、遠野だけではなく風間にも十崎は襲いかかる。遠野を気にかけての戦闘になるため、戦闘能力の高い風間であってもかなり不利な状況。

遠野を見捨てて十崎確保に努めても良いのかもしれないが、1話で「目の前の犯人を取り逃がしても、次の世代の捜査能力を育てるほうが重要な場合もある」と話しており、遠野の命は次の世代にとって必要不可欠な存在と判断してことだったのだろう。ただ、その代償は大きく右目に千枚通しを刺されてしまう。
AUTHOR

望月 悠木


RECOMMENDED おすすめの記事