FOLLOW US

UPDATE|2023/06/05

相棒ドラマとしての『教場0』、“異質な新人”白石麻衣が魅せた説得力抜群の演技力

『風間公親―教場0―』(フジテレビ)公式サイトより


 7~8話に見応えを持たせたのはやはり白石麻衣の存在が大きい。7話で初めて風間と対面して自己紹介を済ませた後、風間は「風間公親だ」とだけ言い残して現場に向かう。その風間の背中を見ながら路子は「しっぶ」「こっわ」とでも思ったのか、驚愕したような、困惑したような、何とも言えない表情を見せる。

8話でも犯行現場を確認している際、風間から「君は女優の嘘を見破った」とお褒めの言葉をいただき、ガッツポーズしながらドヤ顔を披露。これまで風間とバディを組んできた新人刑事には見られない、コミカルかつ、また“現代人っぽい”雰囲気を醸し出す。

 しかし、路子はただおちゃらけているだけではない。優れた観察眼と洞察力を持っており、風間も高く評価している。しかししかし、おちゃらけているけど仕事では優秀というわけでもない。路子はダメ男を好きになる性格らしく、お金の無心はするわ、浮気をするわ、さらには覚せい剤の運び屋をやるわ、非の打ち所がないダメ男の西田徹(渋谷謙人)と同棲している。

人当たりも良く、仕事もできる。にもかかわらず、なぜかダメ男ばかりを好きになる。いろいろな要素が路子には詰め込まれているが、それらが渋滞することなく、白石は路子が持つあらゆる顔を取り込んで演じている。また、肩と背中があらわになるシーンもあり、艶っぽさも感じられ、ますます路子という人物に引き込まれていく。

 基本的に風間とバディを汲む新人刑事は過去を吐露することが多いが、路子は過去のトラウマを嘆いたり、過去の過ちを懺悔したりすることはない。「なぜダメ男ばかりを好きになるのか」「誰かに頼られることで安心感を得たいほど不安感が強いのか」など、路子が現在に至るまでに、どのようなことを経験してきたのかが気になってしまう。そう思わせるほど、可憐で、知的で、どうしようもない路子という登場人物を白石は演じられていた。

 9話からは粗暴な言動が目立つ中込兼児(染谷将太)が風間と組むことになる。彼もまたこれまでの新人刑事とは異なる雰囲気を持っているだけに、どう風間と絡んでいくのか楽しみだ。

【あわせて読む】ヒューマンドラマとしての『教場0』、新垣結衣が見せた説得力と、風間公親がラストに送った言葉
AUTHOR

望月 悠木


RECOMMENDED おすすめの記事