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UPDATE|2023/06/18

『どうする家康』のロゴはなぜ“丸い”のか? ポップなアートワークに隠された意図

『どうする家康』(NHK)公式サイトより

現在放送中の『どうする家康』(NHK)は、さまざまな点で従来の大河ドラマとは一線を画した作品だ。そのチャレンジングな作風は脚本の内容だけでなく、タイトルロゴやタイトルバックにも色濃く現れている。それらのアートワークを紐解くことで、クリエイターたちの“チャレンジ”を感じ取ることができるだろう。

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そもそも大河ドラマのロゴといえば、従来からダイナミックな毛筆書体が中心。歴代でも武田双雲や祥洲といった有名書道家が担当し、力強さや荘厳さを表してきた。

しかし『どうする家康』の場合、一転してデジタルで処理された現代的なアレンジに満ちている。担当したのはNIKEやPARCO、Red Bullなどのグラフィックデザインを手がけるデザインユニット「GOO CHOKI PAR(グーチョキパー)」だ。

彼らが手がける『どうする家康』のロゴは、でっぷりとした書体と文字全体が円状に収まった独特の形状が特徴的。その新鮮なビジュアルは一見すると、大河に似つかわしくない「軽い」印象を受けるかもしれないが、そこにはちゃんとした深い意味と制作者による独自の視点が込められていた。

家康はその生涯で数多くの困難に立ち向かい、時代の流れを体現し、様々な創意を持って乗り越えてきた戦国武将だ。2022年9月にNHKが公開したロゴ発表の記事によると、題字に見られる円形の塊は、そうした波乱の生涯を転がり続けた家康の人生の旅路を表現しているのだという。ひいては困難に直面しながらも前へと進む家康の力強さを象徴しているのだろう。

また家康が目指したのは四角ばった世界ではなく、多様な価値観を受け入れる“丸い”世の中。同記事の中で、『どうする家康』の制作統括・磯智明チーフプロデューサーは、「彼の不屈の生き様、不動の精神を示しているようにも見えます」と語っていた。

深い意味が込められているのは、もちろんロゴに限った話ではない。実は『どうする家康』のOP映像、いわゆる“タイトルバック”にも現代的なメッセージを表現した奥深さが潜んでいる。


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