FOLLOW US

UPDATE|2023/06/18

『どうする家康』のロゴはなぜ“丸い”のか? ポップなアートワークに隠された意図

『どうする家康』(NHK)公式サイトより



同映像を手がけるのは、NHK大河ドラマ『功名が辻』や『八重の桜』でもタイトルバックを担当した映像作家の菱川勢一氏。クリエイティブカンパニー「DRAWING AND MANUAL」のファウンダーであり、現在公開中の映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のメインビジュアルを担当した人物でもある。

ロゴマーク同様、タイトルバックも歴代大河ドラマの重厚なイメージとは異なり、ポップな図形や淡い色味を中心に構成されているが、これらの抽象的な図形は、様々な人や物を想起させる役割を果たしているという。

例えばタイトルバック第一弾では、鉛筆でグリグリと書き殴ったような「円」が登場し、次第に日本の日の丸を思い起こさせるような美しい金箔の「真円」が重なり始める。「DRAWING AND MANUAL」公式サイトで菱川氏が語ったところによると、未熟な家康が「丸」に見立てられており、その「丸」が物語の進行と共に「真円」へと成長していく様子をイメージしているそうだ。

このように『どうする家康』のアートワークには時代や状況を柔軟に受け入れ、多様性を尊重するという現代的なメッセージが込められている。それはまさに、同ドラマが描き出す家康の姿そのものではないだろうか。

また5月14日放送の『どうする家康』第18話からタイトルバックがリニューアルされたが、このタイミングで映像を一新したことにもちゃんとした意味があった。

第18話で描かれたのは、家康最大のピンチともいわれる“三方ヶ原合戦”。いわば家康にとってのターニングポイントである。

演出統括の加藤拓氏によると「徳川家康の生涯はとても長い」「『どうする家康』のタイトルバックは、家康の人生とともに激動の戦国時代『全部』を表現するので、1つのパターンでは描き切れません」というのがリニューアルした理由のよう。続けて「タイトルバックのアップデートもココがターニングポイントでした」と、5月15日更新の番組コラム「新・タイトルバックによせて」で語っていた。

たしかに新タイトルバックは家康が戦乱の世から太平へと歩み続け、自己を更新し続けた姿を象徴しているかのようだ。こうした「変化」一つをとっても、クリエイターの並々ならぬこだわりを感じられる。

ポップな見た目の裏に隠された、大河ドラマにふさわしい重厚なメッセージ。そのギャップの大きさこそが、『どうする家康』に視聴者たちが魅了される一つのカギなのかもしれない。

【あわせて読む】『どうする家康』『レジェンド&バタフライ』…作品ごとに異なる個性豊かな「織田信長」像

RECOMMENDED おすすめの記事