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UPDATE|2023/06/21

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に見るアメコミとインドの深い関係

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「スパイダーマン」というアメコミの人気コンテンツというだけではなく、コミックがそのまま動き出したような斬新な手法のアニメーション映画として話題となり、第91回アカデミー賞においては長編アニメ映画賞を受賞した、『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)待望の続編『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が6月16日よりついに公開になった。

【写真】あのスパイダーマンも登場、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』場面写真【4点】

このシリーズは、マーベルのコミックライター、ダン・スロットによって2014年に出版された「スパイダーバース」が下敷きとなっていて、とにかく様々な世界のスパイダーマンが集結するイベントコミックであり、そこには日本のコミックボンボンで連載されていた「スパイダーマンJ」や戦隊ヒーローの基礎を作ったといわれる東映版「スパイダーマン」(1978)なども登場する。

映画版の前作でも様々な世界(マルチバース)から、複数のスパイダーマンが現れるが、今作では前作を圧倒的に上回る数のスパイダーマンが登場することになる。前作のポストクレジットに登場した「スパイダーマン2099」をはじめ、こちらも人気キャラクターの「スパイダー・パンク」、そして実写版のサム・ライミ版「スパイダーマン」シリーズや『アメイジング・スパイダーマン』(2012)などの映像も使用されている。

その中でも注目してもらいたいのは、「スパイダーマン・インディア」である。スパイダーマン・インディアとは、2004年にインドで出版された短編コミックシリーズであり、のちにアメリカにも逆輸入された作品である。2023年6月には約19年ぶりにスパイダーマン・インディアを主人公とした新作短編コミックが出版され、こちらも話題となっている。

実はインドの漫画というのは、日本のように週刊誌タイプではなく、アメコミと同じリーフタイプ、またはTPB(Trade Paperback)というスタイルで出版されており、マーベルやDCのコミックも一定数流通している。スパイダーマンは人気コンテンツであり、子どもから大人まで、誰もが知る海外キャラクターだ。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の中では、新たな設定になっており、原作とは異なるのだが、今回初登場するスパイダーマンの中でもかなり重要なキャラクターとして設定されており、活躍シーンも長尺で描かれているし、すでに続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』への登場も決定している。

ちなみにインドでは、10言語バージョンが公開されている。これはインド国内の一般的な娯楽作よりもスクリーン数が多いほどで、ヒンディー、パンジャブ語版では、スパイダーマン・インディアの吹替えを人気クリケット選手のシャブマン・ギルが務めるなど、プロモーションにも力が入っている。


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