H&MやGU、スターバックスなどといった一流プランドのデザインを手掛けるアートデイレクター、千原徹也が映画化した作品『アイスクリームフィーバー』が7月14日(金)に公開される。川上未映子の短編集『愛の夢とか』の中の『アイスクリーム熱』が原作で、千原にとって今作が初監督作品だ。
【写真】どのシーンを切り取っても美しい『アイスクリームフィーバー』場面写真【20点】言うまでもないし、言うこと自体が逆に失礼かもしれないが、本作はデザインセンスは抜群としか言いようがなく、フォトジェニックではないシーンを見つける方が困難なほどの正真正銘アート映画。
ちらっと映る小物やインテリアが、あたかもそこにあるべき運命で生まれてきたかのように映し出されており、カット割りや音楽の使い方も見事だ。
それでいて、夢と現実の間で葛藤しながらアイスクリーム店でアルバイトを続ける菜摘(吉岡里帆)とアイスクリーム店の近所に住む優(松本まりか)を軸に描かれる優しい物語は、人が人に対して興味を抱く、その瞬間、瞬間を切り取ったような感覚に包まれている。
渋谷や原宿のちょっとしたスペースに、いつの間にかあって、いつの間にか消えてしまうお店というのがあったりする。
そんなお店であっても、そこで出会った人たちの思い出は生き続けるわけで、日常のありそうでなさそう、なさそうでありそうなエピソードによって繋がっていくストーリーからは目が離せない。