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UPDATE|2023/07/29

「親を許さない」…異色の学園ドラマ『最高の教師』が打ち破る“温い常識”

土曜ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」公式サイトより

今日まで様々な学校を舞台にした教師が主人公のドラマが放送されてきた。7月15日から放送開始した『最高の教師 1年後、私は生徒に□された』(日本テレビ系)はこれまで学園ものとは一線を画すドラマになるかもしれない。

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 本作は1話の冒頭から鳳来高校3年D組の担任教師・九条里奈(松岡茉優)が卒業式当日を過ごしている様子から始まる、といういきなりクライマックスのような幕開け。浮かれている生徒達を吹き抜け廊下から眺めている里奈の背後に人影が現れ、里奈を突き落とす。里奈は地面に落下している最中、自分を突き落とした犯人を見ようとするも顔はわからない。ただ、腕には「D組卒業おめでとう」と記されたリボンが見えるのみ。

 自分の教え子に殺されたことを悟りながら落下して意識が途切れた里奈が、意識を取り戻すとそこは1年前の始業式の教室だった。里奈はタイムスリップしたらしく、1年後に自分を殺す容疑者、もとい生徒と本気で向き合うことを決意。1週目は“なんとなく”でしか生徒と接していなかった里奈が、「なんでもする」という覚悟を持って生徒と毎話向き合う物語となっている。

 学園ドラマであれば教師と生徒がぶつかり合うことは当たり前。それでも『最高の教師』が秀逸な点はまずは生徒一人一人が感情を吐露する時間が長いことだ。

1話目ではクラスメイト全員からいじめを受け、“一週目”では不登校になった後に自殺してしまった鵜久森叶(芦田愛菜)が、「ずっと独りで泣いていました。何の涙かわかりません。悔しいのか、悲しいのか、辛いのか、怖いのかわかりません。みんなは私のこの姿が見たくて、毎日私に嫌な言葉をぶつけていたんでしょうか」といじめに遭っていた時の苦しい思いを吐き出すシーンが5分以上も映し出される。

 セリフの秀逸さと芦田の演技力で引き込まれ、いかに鵜久森が苦しんでいたのか、いじめという行為の残酷さをこれでもかと突きつける。タイムスリップというSF要素はあったが、小細工なく真っ直ぐにメッセージを伝える心を打つ内容だった。
AUTHOR

望月 悠木


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