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UPDATE|2023/08/09

『最高の教師』が示す新たな友情観、「クラスメイト=友達ではない」という“斬新な”当たり前

土曜ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」公式サイトより


 ちなみに眉村と日暮が奮闘するその一方で、鵜久森から「友達になりたい」と言われ、心を入れ替えた東風谷葵(當真あみ)と阿久津由利(藤崎ゆみあ)も勇気を見せる。“相良派”の金澤優芽(田鍋梨々花)と江波美里(本田仁美)に里奈を追い込むために退学届けをチラつかせるよう提案された時、毅然としてた態度で断る。

「何で急に裏切るのよ」と動揺する金澤らに対して、阿久津は「私たちが裏切ったらあんたたちが怒られちゃうわけ?」「それはあんたたちの人間関係なんだから知ったこっちゃない。なんで友達でもない人のお願いをそんな聞かなくちゃいけないの?」と切り替えした。

 従来の学園ドラマであれば多少の棲み分けはあるものの、“クラスは何だかんだでみんな仲良し”という展開になりやすい。加えて、どこかで“クラスメイト=友達”という認識も根強い。しかし、3話では「関わりたくない」「友達でもない人」といったセリフが飛び出し、クラスメイトに壁を作ることを高らかに宣言している。

クラスメイトと言っても、笑いのツボや考え方が合わなければ1年間全く口を聞かずにクラス替え、卒業するケースは珍しくない。自分が仲良くしたい人とだけ仲良くする、ということは至極当然。また、“クラスが同じなだけの他人”という一般的な存在はどこの教室にも存在する。その当たり前を学園ドラマで描いたことは新しい。

 他にも、“スクールカースト”という言葉は今ではすっかり定着したが、クラス内の“1軍”に入ることがステータスと捉えられがち。もはや“2軍3軍にいることは恥ずかしいこと”という認識さえある。眉村も阿久津も1軍ではない。それでも1軍の相良と仲良くするのではなく、本当の友達と一緒にいたいという考えを表明したことはカッコ良い。1軍入りを目指さず、スクールカーストに縛られることなく、自分の仲良くしたいと人と仲良くするという価値観を示した、意義深い展開だった。

 2話では「親であっても許さなくて良い」というメッセージを感じられ、3話では友情の在り方について考えさせられる内容だった。今後も学園ドラマの違和感を明確化するような展開を期待したい。

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AUTHOR

望月 悠木


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