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UPDATE|2023/09/10

『VIVANT』潜入捜査官モノとしての面白さに満ちた第8話

『VIVANT』予告(公式YouTubeより)



今回の第8話は、異色のエピソードといえる。「民間軍事会社を経営していた」、「孤児院の運営のためにテロ活動に手を染めていた」、と次々と明るみとなるテントの事実。あまりにもスピーディーな展開のため、普通の描写では説明が追いつかない。そこで制作側は、「乃木のモノローグをところどころにインサートする」という、今までになかった手法を取り入れた。要点を簡潔にまとめることで、視聴者を迷わせない親切設計。このあたりの計算は素晴らしいの一言だ。

知能テストで抜群の結果を出した乃木を、ノコルが“使える人材”であると判断し、裏帳簿を渡してコストカット案を出すように命じるシークエンスは、『半沢直樹』を彷彿させる。物語の序盤では、バルカで繰り広げられるノンストップ・アクションが視聴者の目を釘付けにしたが、ここに来てまさかの金融系エンターテインメントにも目配せするとは。なんとも欲張りなドラマである。

もう一つ第8話で特筆すべきは、<潜入捜査官モノ>としての面白さ。ジョニー・デップがFBIの囮捜査官を演じる『フェイク』(1997年)、レオナルド・ディカプリオが暗黒街に潜り込む『ディパーテッド』(2005年)、黒人警官がKKK(クー・クラックス・クラン)の潜入捜査する『ブラック・クランズマン』(2018年)など、このジャンルには傑作が多い。もちろん彼は別班を裏切っている訳だから、正確には<潜入捜査官モノ>ではないのだが、テントのメンバーとしての自分、日本国家を守るべき自分との間で引き裂かれる…という展開は、おおいにあり得る。

個人的に面白かったのが、自衛隊時代の乃木を演じる堺雅人が、CGによって若返っていたこと(現時点で公式サイトでは特に言及がないが、おそらくアレは別の役者ではないはず)。思えば『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023年)でも、若きインディを演じるハリソン・フォードがCGによって若返りを果たしていた。これからは国内ドラマでも、回想シーンはCGが主流になるかもしれない。

【あわせて読む】『VIVANT』7話で思い出される『地獄の黙示録』と『機動警察パトレイバー2』、ドラマは終盤へ

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