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UPDATE|2023/09/19

『VIVANT』破格のスケールで作られたドラマが最後に辿り着いた、家族の愛

『VIVANT』予告(公式YouTubeより)

遂に最終回を迎えた『VIVANT』。<敵か味方か、味方か敵か――。>というキャッチフレーズが踊るドラマが最後に辿り着いたのは、家族の愛だった。(以下、ネタバレがあります)

【関連写真】モンゴルロケも敢行、大草原の中馬を駆る役所広司、二宮和也ら【5点】

別班の任務としてテントに潜入していたことが明らかとなった乃木(堺雅人)。黒須(松坂桃李)をはじめ工作員たちにもこのことは一切伝えられておらず、唯一司令官の櫻井(キムラ緑子)のみが知る極秘ミッションだった。やはり、例の「手に持った物の重さが正確に分かる」という謎の特技が伏線になっていたか!

そしてベキ(役所広司)に対し、乃木は「フローライトの採掘権を得られれば、テントは孤児たちを救済するという目的を達成できる。つまりテロ活動を行う必要がなくなる。日本の安全を守ることが使命の別班としては、テントに助力した方が良いと考える」という理屈によって、一時的にテント側につくこととする。

もちろんボスが実の父親であったにせよ、テロによって数え切れないほど罪のない人たちを死に追いやってきたテロ組織と手を結ぶというのは、若干、いやかなりモヤる展開。かつてアメリカ元大統領ドナルド・トランプがアメリカ・ファーストを唱えたように、“日本にとって国益となるか、否か”のジャパニーズ・ファースト精神が行動原理となっている。逆に言えば、一大エンターテインメント・ドラマとして、ここまで自国利益主義を徹底した作品も珍しいのでは。

そして乃木は、外務大臣のワニズ(河内大和)が、バルカ政府主導でフローライト採掘権を獲得できるように画策していることを、超人的洞察力で見破る。あとは、テント潜入編ではすっかりお馴染みとなった半沢直樹的展開。密かに駐バルカ大使の西岡(檀れい)をこちら側に引き込んで、逆転劇を演じてみせる。貴重な地下資源を巡る国家の争いもまた、リアルな戦争なのだ。

この交渉の席に公安の野崎(阿部寛)が参加し、堺雅人(『半沢直樹』)、阿部寛(『下町ロケット』)、役所広司(『陸王』)、二宮和也(『ブラックペアン』)の“日曜劇場アベンジャーズ”が一列に並んだ絵面は圧巻の一言。この光景だけで、ご飯が何杯でも食べられそうだ。

AUTHOR

竹島 ルイ


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