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UPDATE|2023/10/15

虹プロ出身・YUNA、ソロアーティストとしての苦悩「最初はGoogleに頼りながら作詞も」

YUNA 撮影/関根いおん



──これまで3曲リリースされていますが、「こんな姿を見せたい」「こういう曲にしたい」という意見もYUNAさんから出されているのでしょうか?

YUNA 今までは自分の意見を出すという考えがそもそもなかったんです。ある程度プロデュースされる部分が多かったですし、グループだとコンセプトやメンバー全体で色合わせをする部分が強いから。なので、最初は言われたことを受け止めていたんですけど、ソロでやっていく以上はきちんと言わなきゃいけないなと、自分の意見を出すようになりましたね。

──例えばどういう意見ですか?

YUNA 自分の能力の限界値は自分が一番知っているし、見せ方も自分が一番分かっているから、あまりにもキュートすぎたり、ラブリーなものは私には合わないと思っていて。そういうことを伝えて曲を作ったりするので、雰囲気的にも明るくてポップな感じではなくて、落ち着いた感じやちょっとおしゃれな曲にシフトしています。

──楽曲の作詞作曲にも関わっていらっしゃいますが、これまでに経験はあったのでしょうか?

YUNA 作詞はがっつりと作ったことはなかったんですけど、韓国でトレーニングを受けているときにラップの授業とかで作詞をするので、そこでの経験はあります。逆に作曲は一回も経験がなかったので大変でした。すごく短いサビのフレーズを単純にキーボードを打つだけでも3、4時間かかりました。1個ずつ音を探して「あ、この音だな」みたいな。今後もいいメロディーが思いついたら、もしかしたらまた作曲することがあるかもしれません(笑)。

──作詞で印象的なことはありますか?

YUNA 私は日本語が母国語ではないのでそこの難しさもありますし、限られたフレーズの中で意味を伝えることや、全体の流れや言葉があんまり被らないようにとか、作詞は条件がすごく多いんですよ。それに完璧さの基準値が自分の中にあって、それが満たされないと「やっぱり違うな」「これはちょっとイヤです」と思ってしまうので、何回も修正をしていきました。

──もともと母国語ではない言葉で書くのはとても難しそうです。

YUNA そうですね、だからGoogleに頼るしかなくて(笑)。韓国に住みながら日本語を勉強してはいたんですけど、今思うとすごく片言で、幼稚な言葉でしか話せなかったんです。当時はそれでも自分なりに「完璧な日本語だ」と思っていたんですけど、今見ると完成度が低くて。それに日本の方々が見たときに「幼稚な歌詞だな」「かわいいな」と思われるのがすごくイヤで。

でも日本で暮らし始めて、作詞やインタビューなどいろいろな活動を重ねていくうちに、日本語の実力が伸びていって、使える文法や単語も大人っぽくなって、今は自分が表現したいことがパッと思い浮かんだりするようになりました。

もちろん、それでも日本人もあまり使わない、歌詞だけで使われるような日本語というものがあるじゃないですか。そういうものを覚えていきながら言葉を探すので、すごく時間はかかりますね。

──詞を書くときは、韓国語と日本語で違いがあったりするのでしょうか。

YUNA 日本語では意味が通じるけど韓国語では直訳できない部分があったりしますね。例えば韓国でカッコいい人やかわいい人がいると「君の顔はすごく面白い」と言うんです。それは「見ているだけで笑顔になるくらいカッコいい=面白い」という意味なんですけど、日本で言ったらめっちゃ失礼じゃないですか。こういう例がすごく多くて、歌詞でも「韓国語ではこれでいいけど、直訳すると長すぎてダメだな、全然違う言葉を使わなきゃ」みたいなことがあります。

(取材・文/東海林その子)
CREDIT

取材・文/東海林その子 撮影/関根いおん


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