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UPDATE|2023/10/30

羽生善治が語る、藤井聡太竜王・名人の凄さ「未知な場面でも正しい羅針盤で良い方角を向ける」

(C)AbemaTV, Inc.

トーク番組『NewsBAR橋下』が、毎週土曜日夜9時より「ABEMA NEWSチャンネル」にて放送されている。28日(土)の放送では、日本将棋連盟会長の羽生善治九段がゲスト出演。史上初めて将棋タイトルの八冠制覇をした、藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖)を徹底解剖した。

【写真】”将棋トーク”を繰り広げる羽生善治と橋下徹、ほか番組カット【5点】

番組ホストの橋下徹は羽生九段との初共演に、「僕は羽生九段の1つ年下で同世代。僕が大学浪人中に羽生九段が初タイトルを獲り、司法試験に落ちて燻っている時には次々にタイトルを獲得した。うだつが上がらなかった時に見た、同世代の羽生九段の輝かしい報道は強烈に覚えてる」とコメント。

また、橋下が「長男が将棋教室に通っていて、彼が小学2年生の時に対局したら負けてしまった」と告白すると、羽生九段は「将棋は基礎を覚えるとすぐに強くなれるので、小学校低学年でも強い子はたくさんいる」と返答。

「私も小学2年生から将棋道場に通い始めた。年配の人と対局して私が勝つ度に『もう1回やろう』と言われて応じていたら、そのまま5回ほど負かしたことがある。子どもなんて躊躇なく本気で指すから、気の毒なことをしましたね(笑)」と話し、笑いを誘った。

番組では、藤井聡太竜王・名人の「強さの秘訣」について羽生九段が言及。羽生九段は「総合的な実力があることはもちろんのこと、藤井さんは出来不出来の差がすごく小さい。20代前半の棋士は粗削りで、長けている部分もある一方で弱い部分もあるのが普通だが、藤井さんは安定感がありこの結果が出せている。未知な場面でも正しい羅針盤で良い方角を向けることに優れている」と評価した。

続いて、藤井聡太竜王・名人が史上初の八冠達成した「第71期王座戦五番勝負」について、羽生九段は「例えば12時間対局をやっていて、11時間半優勢だったとしても、最後の30分にひっくり返されることは将棋ではよくある」と解説。

「今回の王座戦でも、永瀬拓矢九段は持ち時間がなくなって読み切れなかった。まさにギリギリの紙一重の勝負が明暗を分けた」と評し、「持ち時間1分の中ですべてを出さないといけない残酷さがある一方で、そこにドラマがある」と将棋の魅力を語った。

さらに「頭がフレッシュな状態だったら永瀬さんも最善な一手が読めていたと思うが、12時間以上戦い続けていてヘトヘトになっている状態でそれが見えるかというと微妙なところである」と話した。

そのほかにも、羽生九段は「第1局の前日に、関係者の食事会があった。私は永瀬さんの隣に座っていたが、彼は“それどころではない”感じで上の空だった。すでに対局モードに入っているんだなと隣でひしひしと感じていた」と“世紀の一戦”の舞台裏を明かした。

「本音トーク」が続き、芸能界きっての将棋通であるサバンナ・高橋茂雄が「羽生九段のタイトル通算100期が見たい」と話すと、羽生九段は「将棋連盟の会長職をやっていると、『棋士は辞めたんですか?』と言われることがある(笑)」と苦笑い。

続けて「将棋連盟の会長を現役の棋士がやるのは長年の伝統。将棋の勉強時間は減るが、歴代の先輩も会長職と両立しながら将棋界を存続させるために尽力してきた」と意欲を語った。

また、”対局中の服装”に話が移ると、羽生九段は「大きなタイトルの舞台では和服を着る慣習になっている」と話し、「対局相手と着物の色が被らないようにするのが難しい。『明日どうするの?』と相談するわけにはいかないから、『次は茶系かな?』とか読んでます(笑)」と明かすと、高橋は「それも読まなアカンのか…」と頭を抱えた。

そのほかにも“将棋界の未来”や、対局中の棋士の心境など、様々な将棋に関する話題を“ほろ酔いトーク”で大いに盛り上がった。

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