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UPDATE|2023/11/27

『ブギウギ』母親=聖母ではない、”人間らしさ”が描かれたツヤ(水川あさみ)はどんな人物だったか

スズ子(左)とツヤ(右)。『ブギウギ』第39回より 写真◎NHK

趣里が主演を務めるNHK連続テレビ小説『ブギウギ』(総合・月曜~土曜8時ほか)。第39回で、主人公・スズ子(趣里)の母、ツヤ(水川あさみ)が病死した。SNSでは”水川あさみ”がトレンド入りし、「ツヤさん、もう少し生きていてほしかった…」「涙止まらん」など、悲しみの声があふれた。いつどんな時でもスズ子を励まし、愛し、絶対的な味方であったツヤ。そんなツヤは物語でどんな母親として描かれていたのか、これまでのエピソードを振り返っていきたい。

【関連写真】病床のツヤ(水川あさみ)とスズ子、ほか『ブギウギ』39回場面カット【5点】

ツヤを語る上で外せないキーワードは、やはり”義理と人情”だろう。ツヤは、幼き頃のスズ子に「この世は義理と人情でできている」と教えていた。スズ子は節目節目でこの言葉を思い出すことになる。そしてツヤ自身も”義理と人情”だけではどうにもできない感情や欲に悩まされているのだ。

第1週から第3週にかけてのツヤは、スズ子から見ても視聴者から見ても、意志が強く、しっかり者のお母ちゃんだったのではないだろうか。夫である梅吉(柳葉敏郎)には厳しい態度が多かったが、スズ子や六郎(黒崎煌代)に声を荒げて怒る場面は一切ない。

どんなときでも「すごいなぁ」「えらいなぁ」と褒めて伸ばす教育をしていたツヤ。第9回で熱を出したスズ子のために、季節外れの桃を探しに行ったツヤの姿は誰の目にも子供思いの良い母親に映ったことだろう。

しかし、第4週に入るとそんなツヤのイメージが変化する出来事が起きる。ツヤは、自分の実家でありスズ子の実母・キヌ(中越典子)がいる香川に、スズ子と六郎の2人だけで行かせたのだ。何も知らずに香川に行ったスズ子は、そこで自分が花田家の本当の子ではないと知らされる。

放送当時、SNSでは「どうしてツヤも一緒に香川に行かなかったのか」「ツヤさんの口からスズ子に本当のことを打ち明けた方がよかったのでは」といった声が多く見られた。おそらくツヤは、キヌとの約束を破り何年もスズ子を香川に連れて帰らなかった罪悪感、本当のことを知ったスズ子がキヌの元に行ってしまうかもしれない恐怖心があったのだろう。もしくは、スズ子が真実を知ることなく帰ってくる可能性もある、と淡い期待を抱いていたのかもしれない。

AUTHOR

りお 音月


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