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UPDATE|2023/12/23

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』はなぜ口コミ人気が爆発した? 最高で最悪だった“鬼太郎オリジン”の衝撃

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』鬼太郎の父&水木のビジュアル(公式Xより)



お主、死相が出ておるぞ──。これは同作の序盤に飛び出す、物語の本格的な幕開けを告げるセリフだ。いかにも不気味な雰囲気だが、ただのこけおどしではなく、劇中では“地獄絵図”と言いたくなるような光景が繰り広げられる。

舞台となる哭倉村は、近代社会から取り残された独自のルールで動いており、法や人権が成立しているかどうかすら怪しい。その土地を牛耳るのは、日本の政財界を裏で操っているという龍賀一族。当主・時貞の死によって、跡継ぎをめぐる醜い争いが始まり、その矢先に村の神社で斬殺事件が勃発する……。

まるで『犬神家の一族』などの横溝正史作品を髣髴とさせる導入だ。実際に序盤はミステリー仕立てのストーリーとなっており、その後はおどろおどろしい惨劇が繰り広げられていく。PG12の年齢制限が設定されており、グロテスクな描写も多いのだが、それよりも精神的な部分で絶望を味わわせてくる。ファミリー向けアニメと侮ってかかると、間違いなく後悔することになるだろう。

人はあまりに大きな衝撃を受けると、それを誰かと共有したくなるもの。ここ数年、SNS上で『呪詛』や『ミッドサマー』といったホラー映画が口コミで人気を博したが、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』もある意味同じ方向性でのヒットと言えるかもしれない。

とはいえ、同映画は決して『ゲゲゲの鬼太郎』の世界観を壊すストーリーではない。むしろ原作のさまざまな要素を回収している上、原作者・水木しげる氏への深いリスペクトを感じさせる出来となっている。それにもかかわらず、原作を知らない人々が全力で楽しめる内容に仕上がっていることに、驚かされるほかない。

ぜひ劇場まで足を運んで、その感想を人と語り合ってほしい。

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