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UPDATE|2023/12/21

『silent』『いちばんすきな花』村瀬Pが明かす革新的ドラマの作り方「企画書は1枚目が命、ワクワクするか」

『いちばんすきな花』(フジテレビ系)



「僕が作った企画書が面白そうに見えたんだと思うんです。まず表紙があって、2枚目をめくるときにワクワクする企画書と、そうでないものとでは、もうそこで勝負が決まっていると思う。だから、僕にとっては企画書の1枚目が命。『silent』の企画書では、本編には出てこない写真(※雪原に木がぽつんと立っている写真が著書の中で紹介されている)を使用して、ドラマのイメージを想像させています。そして、ページをめくったらまず登場人物の紹介が載っているというのが僕のフォーマットなんです。普通の企画書は最初にテーマが来ますが、僕の場合はまず登場人物をぽーんと見せる。これが決まりです」

発想、企画の立案、企画書の作成、キャスティング、そして撮影などプロデューサーの業務は多岐に渡るが、村瀬氏はこの仕事を「責任者」だと表現する。だからこそ、自身が面白いと感じたアイディアは人のものでもどんどんと乗っかり、一方で時には上層部からの声にも惑わされない勇気を持っている。

「僕はサラリーマンとして何十年やってきて、クリエイターでもあるけど、あくまで会社員です。会社という組織で生きてきて、はっきりわかったのは、失敗したときに誰もかばってくれないということ。僕がなにか大きな失敗をしたとき、上司は誰一人『これは俺の責任だ』とは言ってくれないということを学んだんです。それなら、自分が納得できない上司の意見を聞くのって損なだけですよね。僕、人のせいにするということがこの世で一番嫌いで。失敗したときに、あの人に言われたからやったという言い訳が自分の中に残るのが嫌なんですよ。自分の責任だって言いたいんです」

失敗は自分の責任、しかし成功は全員で。「『silent』は自分が作ったって、関わった人は全員言っていいと思っています。むしろ関わった人全員に言ってほしい。実際、『あれは俺が企画を通した』って言っている人が社内で20人くらいいるんじゃないかな。こんな幸せなことってないですよね」と笑う。関わってくれた人全員にとって“の代表作”を作りたい。そう考える村瀬氏は、ドラマ『いちばんすきな花』の撮影中での逸話を明かしてくれた。

「この前嬉しいことがあったんですよ。撮影が押して遅くなったときに、美術パートのアシスタントの子に『ごめんね、こんな寒いのに遅くなってしまって』と声をかけたんです。そしたら、『私、このドラマに関われて本当に良かったです。今まで携わったドラマで一番好きで、自分の参加しているドラマなのに、毎週オンエアを見て泣くし、脚本が上がってきて読んだら泣くし共感するし、こんなにやってよかったと思うドラマありません。村瀬さん、ありがとうございました』って言ってくれたんですよ。なんかもう、泣きそうになりました。こういうことをスタッフ、特にアシスタントの子に言ってもらえるのが一番嬉しいですね」(後編へつづく)

【後編はこちら】『silent』『いちばんすきな花』村瀬健Pが語るテレビの可能性「地上波ドラマはまだまだ面白いことができる」
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まっつ


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