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UPDATE|2023/12/21

『いちばんすきな花』村瀬健P、サブスク時代テレビの可能性「地上波ドラマはまだまだ面白いことができる」

『いちばんすきな花』(フジテレビ系)

2022年に『silent』(フジテレビ系)を世に送り出し、社会現象を生み出したドラマプロデューサーの村瀬健。そして2023年、再び脚本家の生方美久とタッグを組んで制作したドラマ『いちばんすきな花』で大きな注目を集めている。そんな村瀬氏が12月4日に書籍『巻き込む力がヒットを作る "想い"で動かす仕事術』(KADOKAWA)を発売。著書では、『silent』の企画書から、自身の仕事術などについて赤裸々に語っている。インタビュー後編では、本を執筆しようと思ったきっかけ、ドラマ制作“チーム”への考え方について話を聞いた(前後編の後編)。

【前編はこちら】『silent』『いちばんすきな花』村瀬健Pが明かす革新的ドラマの作り方「企画書は1枚目が命、ワクワクするかが勝負」

【関連画像】「企画書は1枚目が大事」村瀬Pが『silent』企画書1枚目に使った雪原の写真から生まれた台本表紙ビジュアル

日本テレビ在籍時代には『14才の母』という世間に大きなインパクトを与えたドラマ作品を生み出し、フジテレビ移籍後、昨年には『silent』というドラマで社会現象を巻き起こした村瀬氏。だが、自身についての評価は「凡人」であると明かす。しかし、そんな中でも今回著書を執筆していくうちに、これまでの成功の理由も見えてきたという。

「本を書いたことで自己分析ができたんですよね。就職活動みたいなもので、人と話したり、自分について文章を書いたりしたことで自分自身が見えてきて。ずっと自分のことをただの凡人だと思っていたけど、そうじゃない部分もあるかもと思いました。そのひとつが、『常に楽しめていること』。得意とか苦手とかじゃなく、ただひたすら楽しいんですよ。

普段からどうすれば面白いドラマを作れるかな、そのヒントがどこかにないかな、なんて、そんなことばっかり考えていますが、『仕事だから』と義務的に考えてる感覚が一切なくて。そういう意味においては、僕には『楽しむ才能』があったのかもしれないですね。いつも楽しいことをやっているから、うまくいっているという感覚があります。だから、もし仕事などで悩んでいる方たちがいたら、楽しいと思えることをやったらいいんじゃないかなって思います」

だが、制作は個人ではなく、チームでやるもの。どの世界であっても、チームが機能して初めて大きな力を生み出すことができる。「周りの人の力をいかに引っ張り出すかで作ってきた」と自負する村瀬氏のチーム作りはいたってシンプルだ。

「僕は優しい人が好き。怒ったり、怒鳴ったり、誰かを傷つける人が本当に苦手なんです。僕の周りにずっと残ってくれている人はみんな優しい。能力も大事ですけど、やっぱり人ですね。性質として人を傷つけない、優しいチームがいつの間にか僕の周りにできあがっていました」

木曜劇場『いちばんすきな花』では、そんなチームとたくさんの喜びを分かち合った。第7話では、主人公4人の共通の友人・志木美鳥役が田中麗奈であることが明かされた。当初からこのキャラクター、そして配役にこだわりを持っていた村瀬氏は放送中もチームとともにSNSを注視。多くの視聴者がこの絶妙な配役にネット上で歓喜する様子を見届け、「SNSが予想していた以上に盛り上がって、僕なんか『キャスティングした人天才!』なんて言ってもらえてて(笑)。

ちょうどスタジオで撮影していたときだったので、みんなとリアルタイムで盛り上がりましたね。田中麗奈さんも『(ネット上の盛り上がりに)本当?』と言いつつ、ホッとされていました。プレッシャーのかかる登場の仕方でしたからね」と明かす。

だからといって、村瀬氏は必要以上に人とつるむタイプではないという。社内でも一年以上前に入社した後輩に「はじめまして」と挨拶されることがあるほど。「後輩が僕にアドバイスをもらいに来るような関係を作れていなくて。話しかけてくれたら僕ほど気さくな先輩はいないはずなんですけど。まあ、ほとんど会社にいないからなぁ(笑)」と漏らすが、それこそが今回の著書を執筆した理由のひとつでもある。

AUTHOR

まっつ


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