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UPDATE|2023/12/21

『silent』『いちばんすきな花』村瀬Pが明かす革新的ドラマの作り方「企画書は1枚目が命、ワクワクするか」

『いちばんすきな花』(フジテレビ系)

2022年に『silent』(フジテレビ系)を世に送り出し、社会現象を生み出したドラマプロデューサーの村瀬健。そして2023年、再び脚本家の生方美久とタッグを組んで制作したドラマ『いちばんすきな花』で大きな注目を集めている。そんな村瀬氏が12月4日に書籍『巻き込む力がヒットを作る "想い"で動かす仕事術』(KADOKAWA)を発売。著書では、『silent』の企画書から、自身の仕事術などについて赤裸々に語っている。今回のインタビュー前編では、企画書の通し方や仕事への向き合い方などについて話を聞いた(前後編の前編)。

【関連画像】「企画書は1枚目が大事」村瀬Pが『silent』企画書1枚目に使った雪原の写真から生まれた台本表紙ビジュアル

最初に入社したのは、日本テレビ。ドラマ『14才の母』などのヒット作を手掛けてきた。フジテレビへ転職後も『BOSS』、『信長協奏曲』、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』などの話題作をプロデュースしてきたが、やはり最大のインパクトをもたらしたのは昨年放送された木曜劇場『silent』だろう。同作品は社会現象を巻き起こし、村瀬氏も「この歳でもう一度代表作ができました」と語る。

『silent』といえば、青羽紬(川口春奈)と「若年発症型両側性感音難聴」を患った、かつての同級生・佐倉想(目黒蓮)によるラブストーリー。丁寧なキャラクターの描き方、緻密な構成が魅力だったが、ドラマ制作の始まりは想定外の出来事からだった。

「上司から、『次の年の10月クールの木曜10時が急に空いてしまったから、なんかやってくれないか』と言われたんですよ。ちょうどその頃、フジテレビヤングシナリオ大賞を獲ったばかりでまだ脚本家デビュー前だった生方美久さんと『いつか2人でなにかやりましょう』という話をしていて。そのときは全然違う作品の話をしていたのですが、10月の木曜10時という枠を考えたときに、ラブストーリーがいいなと思いました。木曜だから大人がはまれるもの、秋だししっとりとした切ない物語がいいなという感覚が自分の中にはありました」

突然のチャンスが巡ってきた形だったが、村瀬の中に“発想の種”はすでにあったという。

「日頃から、多様性という言葉に疑問を感じていて…。『多様性、多様性』ってみんな口ではそう言うけど、本当のところはどう思ってるんだろう?と思っていたので、そういう違和感とラブストーリーを自分の中でひとつにした形です。そこから考えていき、最終的に音のない世界に生きる人のラブストーリーにしようと思い、生方さんと話しながら形にしていきました」

『silent』の大ヒットを受け、「ラブストーリーはある程度やりきった」と語る。そこで、恋愛ものと同じくらい大好きだという友情ものを手掛けたいと考えて生まれたのが、2023年秋ドラマの『いちばんすきな花』だった。

「恋愛と友情は紙一重だということを描きたいなと、ずっと思っていたんです。僕も多様性に対する感覚がまだ『silent』から続いていましたし、永遠のテーマである『男女の友情は成立するか』を渾然一体として、生方さんに持ちかけました」

結果的に『silent』も『いちばんすきな花』も大ヒットとなるが、発想と構想を一歩進めるのが企画書の作成。企画書を社内で通すことができなければ、素晴らしいアイディアであっても絵に描いた餅だ。必死に取り組んだという企画書の中で村瀬氏が意識していたことは、紙面で見せた時点でいかに「面白い」と感じさせるかだ。

AUTHOR

まっつ


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