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UPDATE|2023/12/21

初週興収1位・ディズニー100周年記念作品『ウィッシュ』、女性像の描き方の変化に注目

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ディズニー100周年記念作品として制作された『ウィッシュ』がついに日本でも12月15日から公開中。ディズニー単独アニメ映画の新作とあって待ち望んだファンも多く、すでに話題となり、初週興収は1位を記録した。さらに冬休みに向けてファミリー需要も増すため、今後の成績にも期待できるだろう。

【写真】ディズニー100周年記念作品『ウィッシュ』場面写真【7点】

そんな今作は、ディズニーのかかげてきた「願いは叶う、星に願いを」という多くのディズニー作品に共通するテーマ性をストレートに描いていることからも、原点回帰と今後の展望を兼ね備えた作品といえる。

おそらく主人公たちが暮らす国のモデルとしては、中東あたりの宗教によって成り立っている独裁政権下。そんな背景がチラつくものの、ストーリーはいたってシンプル。そして、かなり王道。

イントロから本題のスパンが非常に短く、子どもを飽きさせない展開になっていることに対しては、時代を感じずにはいられないが、一方で固定概念に対する疑問を口に出して主張することの大切さを描くなど、社会派な側面も兼ね備えている。

過去のディズニー作品オマージュもいくつか含まれているが、邪魔にならない程度になっており、100周年記念といってもあくまで独立したものとなっている。アニバーサリー感は正直そこまで感じられないが、ひとつの作品しては見事なクオリティだ。

今作は堂々とミュージカル映画と名乗っているだけのことはあって、『アナと雪の女王』(2013)や『モアナと伝説の海』(2016)のように歌が物語そのものに練り込まれているため、極限の状況下でも歌を唄うことでキャラクターたちの活力に繋がるという音楽の役割が大きい作品。つまりキャスティングはかなり重要視されている。

主人公アーシャの声優を務めているのは、アリアナ・デボーズ。スティーヴン・スピルバーグによる再映画化で注目された『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)において、アニータ役を見事に演じ、第94回アカデミー賞助演女優賞ほか、多数の映画賞を受賞した。

Netflix映画『ザ・プロム』(2020)やドラマ「シュミガドーン!」シリーズなどでもお馴染みの女優であるが、アリアナはもともと本格的なミューシカル女優。ドナ・サマーの半生を描いたミュージカル「サマー」では、主演を務めているほどの実力者なのだ。

おそらく主題歌の「This Wish」は、来年のアカデミー賞における歌曲賞にノミネートされるはずだ。


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