FOLLOW US

UPDATE|2023/12/28

年末年始に一挙再放送『VIVANT』、改めて考えたい話題作の魅力

『VIVANT』最終回予告 公式YouTubeより

いよいよ2023年も残すところあとわずかとなった。今年も多くのドラマが話題を呼んだが、中でも幅広い層からの支持が頭ひとつ抜けていたのが、7月期の日曜劇場『VIVANT』(TBS)ではないだろうか。

【関連写真】モンゴルロケも敢行、大草原の中馬を駆る役所広司、二宮和也ら【5点】

年末年始には一挙放送も決定しており、12月31日(日)と1月2日(火)の2日間にわたってドラマ全話が放送される。配信サービスなどが発達している今、テレビでの再放送は、視聴者からの根強い支持や人気あってのことだ。

ドラマ放送開始前の注目度も高かった。堺雅人主演、阿部寛や二階堂ふみ、松坂桃李らが出演することは告知されていたが、彼らの役柄やストーリーといったドラマの内容は明かされなかった。そのうえ、第1話には二宮和也がサプライズ登場し、その後の物語でも重要な人物として作品に貢献した。

自衛隊の秘密組織・別班に所属する主人公・乃木憂助が、テロ組織”テント”と対峙するというのが物語の大枠。大手総合商社に勤める乃木が中央アジアの企業に140億円の誤送金をしたことがはじまりだった。中盤に入り、乃木は別班のメンバーである事が明かされる。その後は同じ別班として活動する黒須(松坂桃李)と共に行動し、テロ組織”テント”のリーダーであるベキ(役所広司)とその息子・ニコル(二宮和也)との関係に迫った。

舞台となるのは日本のほかに、モンゴル。およそ2ヶ月におよぶモンゴルロケを敢行したことも、日本のドラマとしては珍しい。作品の冒頭、日本の民放ドラマではまず見られないであろう砂漠一色の景色に壮大さを感じないはずがない。堺雅人の足跡だけが残る砂漠の景色に、CGを使用したシーンかと思わされるが、カメラワークやその後の映像を見て「これはホンモノだ」と気づく。

乃木は、一部の場面において、情報を聞き出すために女性や子どもを危険にさらす部分や、仲間である別班を自らの手で銃殺したかのように見せる部分などがあり、残忍さに息を呑むシーンもある。しかしそれ以上に、乃木の素性が明かされたり、乃木が別班として任務を遂行しようとする強い決心に心を奪われた視聴者が多いだろう。

堺雅人といえば、やはり『半沢直樹』(TBS、2013/2020)の印象が強いが、『リーガルハイ』(フジテレビ、2012/2013)など一癖も二癖もある役こそ似合う役者。ほかにも、公安の刑事・野崎を阿部寛が演じ、乃木との掛け合いも見応えがある。今作のヒロインといえる二階堂ふみは、医師として気高く働く一方、少女ジャミーンに対しては母性や愛情をのぞかせた。主役級の役者が揃い、演者のクオリティは流石といったところだ。
AUTHOR

鳥羽 竜世


RECOMMENDED おすすめの記事