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UPDATE|2024/02/14

東出昌大の狩猟に映像作家・エリザベス宮地が密着「積雪で凍傷に…『慣れるしかない』と言われて」

撮影/武田敏将



──狩猟の場面になると、宮地さんの息が上がる音が生々しく入っていました。相当過酷な撮影だったかと。

宮地 そうですね。一見楽々狩猟しているように見えるかもですが、一頭目をしとめるのに山に4、5回入っているんです。一度の狩りに大体2時間ぐらいかかるので、計10時間ひたすら山の中を歩くだけで。獲物と全然遭遇しないし足に激痛が走るほど歩くしで、マジで先行き不安になりましたね。

東出 単独忍び猟って、かなりキツいんです。僕も始めたころは毎回足ボロボロになっちゃって。これを解消するには鍛えるしかないんですよ。

宮地 みんなそう言うんだよねえ(笑)。本当に山に行くたびに心折れたから。山に慣れた後も大変だったしさあ。

東出 そうだった! 約半年経つと宮地監督も山へ行くのが苦痛ではなくなってきていて。ある日「さあ行きましょう!」と、二人で元気に山へ入ったんです。ところが、その日ものすごい積雪の日にぶち当たってしまい、宮地監督が凍傷になっちゃったんです。そこでまた心折れてしまうという(爆笑)。

宮地 本当に超痛くて大変だったんですよ(苦笑)。「でっくん(東出)、これどうすればいい?」と聞いたら、「慣れるしかありません」と言われて。ウソだろ⁉って、だんだんイライラしてきて。この不満を他の猟師さんや、阿部達也さん(料理家・猟師)に話を聞いても、「いや、雪道は慣れるしかない」と言われ、正直マジで密着止めようかと思ったほど(笑)。しかも凍傷になったシーンは全部カットしてます。

──身を削った結果オールカットは、つらすぎる(苦笑)。

東出 文字通りの命懸けの撮影だったと思います。転げ落ちた瞬間に「撮影終了です!」となるほどの豪雪地帯にも入りましたし。そうした中、宮地監督はよく心折れながらも、長い時間追い続けてくれましたよ。

宮地 いやあ、多分相当なアドレナリンが出ていたんだろうね。阿部さんと一緒に群馬の山で狩猟する場面なんか積雪がヤバすぎて、どう撮ったかの記憶が全くない。「もう撮るしかないぞ!」という強い意志だけが僕を動かしていたんだと思います。

【後編はこちら】東出昌大の密着映画に込められた思い「“残酷であること”に真正面から向き合うことが、人間には必要」
AUTHOR

田口 俊輔


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