──どういうところに佐内さんの魅力を感じるのでしょうか。
筧 人でも物でも区別がなくて、何に対してもフラットなんですよね。人を撮るときは、その人ならではのものが写るし、車だったら、その車の個性や魅力が写し出されていて、すごく自然なんです。私の目指す写真集もそういう形だったんですよね。
──実際に佐内さんとお会いして、どんな印象を受けましたか?
筧 あんなにニュートラルな人は見たことがないですね。干したての布団みたいにふかふかな人で(笑)、佐内さんの周りには気持ちのいい空気が漂っているんです。こういう人柄だからこそ、いろんなものに対して正直に撮影できるんだなって納得しました。
──グラビア自体が5年ぶりだったと聞きます。撮影ですぐに感覚は取り戻せましたか?
筧 むしろ今までグラビアでやってきたことは必要ないと思ったので、一旦忘れて、真っ白な気持ちで臨みました。今回は事前準備もほとんどしなかったんですよ。約3カ月かけて撮るというのもありましたし、佐内さんと撮るにあたって、繕って行くのは違うなと思ったんですよね。
だからボディメイクもハードにはしませんでした。久々だったので、水着での撮影前はどうしようかなと思ったんですけど、無理に節制もせずに、生き生きとした姿が写ったらいいなと思って、力まずに、普段通りの姿で撮っていただきました。
──他の仕事も並行していますから、3か月でも変化はありますよね。
筧 そうなんです! 分かりやすいところで言えば、途中で髪の毛を切りましたし、写真集を撮っている期間に心境の変化もあって。そういうのが顔つきにも出ていて、人ってこんなに短期間で変わるものなんだと写真を見て他人事のように思いました(笑)。
(取材・文/猪口貴裕)