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UPDATE|2019/12/04

描かれるのは究極の映画愛、成海璃子 主演ホラーコメディ公開「ラストシーンはみんなの気持ちを込めた」

撮影/西邑泰和


──今作はホラー描写以外にも、「映画現場内幕モノ」として非常にヒリヒリした映画製作の内側を描いています。あの場面はどうでした?

成海 劇中で黒沢たちが撮っている現場は、低予算中の低予算でスタッフもキャストもバラバラです。ありがたいことに、これまであそこまで荒んだ現場に遭遇することはなかったです(笑)。今回も、実際の撮影現場は常に出演者、監督、スタッフさんの笑顔が絶えない現場でした。ただ、過酷ではありました。真夏の廃校での撮影なのでクーラーはなく、とにかく現場は蒸しっぱなし。またヤング ポール監督にとって初の長編作品なので、始まって間もない頃は思う様に現場が回らない時もあって。しかも物語の進行通りの撮影なので初日が一番出演者もスタッフさんも多く、ポールとしては勝手も掴めずに相当プレッシャーを感じていたからか、暑さと疲労で倒れてしまったんですよ。

──それは大変だ。

成海 回復するまではとにかく私たちもジッと待機するしかないので「大丈夫かな?」と、祈りながらの日々でした。復帰後の監督は何かを吹っ切ったのかバシバシと現場を進めてくれて、その後は一切心配することなく楽しく臨めました。

──物語通りの進行ということは、撮影が進むにつれて人が少なくなっていくということですよね。

成海 そうなんですよ。麿赤兒さんや手塚とおるさんたちは、劇中でドンドン殺されてはお役目を終えて、東京に帰っていくわけです。一人ひとり消えては東京に帰って行く背中を、酷暑の中、私と三浦さんはジッと眺めては「帰っちゃったよ……」と、ボヤいてました(笑)。ただ、そのおかげか、三浦さんとの息は終わりに向かうにつれてさらにピッタリになっていきました。

──その息があったお二人によるラストは感動的でした。成海さんに今作の全ての想いを込めたかのようなシーンになっていました。

成海 ありがとうございます。ここは監督や脚本の楠野一郎さんのメッセージが強く込められている場面なので、台本にも注釈が長く書いてあったんです。ただ、そのメッセージが誰の目線の、誰に向けてのものなのかが最初は理解できなかったので、監督と解釈やその時の演じる際の心情について、結構話しあいましたね。ラストは、監督や楠野さんの気持ちだけでなく、私の気持ちもみんなの気持ちも入って、その想いがカメラに向かって強くぶつかっていますね。ただ、この場面をどう説明するかとなると……う~ん、難しい! 本当に見た方によって捉え方が違ってくるので……とにかく見てくださいとしか、私の口からは言えません(笑)。
ゴーストマスター
AUTHOR

田口 俊輔


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