FOLLOW US

UPDATE|2021/02/14

アイドルwithコロナ 看護師&事務所社長、二足のわらじアイドルに聞く「少しでも休んだら食われる」

社長として事務所とレーベルを運営する里咲りささん(左)/看護師としても働く桃里れあさん(右)


続いて話を聞いたのは、昨年グループアイドルを卒業し、グラビアアイドルに転身した桃里れあさん。今年1月発売の1stDVDが、Amazon女性アイドルカテゴリーで売れ筋ランキング1位に輝くなど、注目を集めている。そんな彼女、かつては大学病院に勤務し、現在も週に数日、看護師として働いている。

コロナについては「後遺症を持つ患者さんと接する機会が多く、こんなにも後遺症で困っている人がいるんだなということを、強く感じています。倦怠感が強く残ってしまって、仕事もままならない方だとか、学校にもしっかり行けなくなってしまった方もいる」と話し、さらに「妹が大学病院で看護師として働いていて、実際にコロナにかかっている患者さんの対応もしている。妹との話でも、情報を得たりしています」とのことで、他のアイドルに比べ、より身近でリアル、危難な問題として捉えている。

そんな桃里さんの芸能活動も勿論、コロナによって大きな影響を受けた。昨年5月に予定していたグループ卒業ライブは、延期に延期を重ね、開催されたのは8月。声出しや接触、来場人数も制限され、不完全燃焼に終わった。また、グラビアアイドルとしてスタートを切ろうにも、予定していた仕事も次々と延期に。「すごい不安で。このままで大丈夫なのかなと思った」という。普通なら腐ったり、反発を覚えたりするだろうが、コロナに対して前述のように捉えていたため、「仕方ないこと」とすぐに切り替えられた。

そして、今の自分に出来ることが何かを柔軟に考え、一つの答えにたどり着いた。それは「みんなが家にいてネットを見るだろうから、ひたすらSNSを頑張って知名度を上げていこう」というもの。持て余す力を最大限、注ぐことにした。「考えてやり続ければ必ず伸びると信じました。ただ写真を載せるのではなくて、これが伸びやすいかなと考えながら選んだり、文章を考えたり、毎日けっこう時間を使っています」といい、結果的に、アイドルをやっていた頃には2000人にも満たなかったInstagramのフォロワーは、半年で3万6000人にまで増加。活動が制限される中で、多くの新規ファン獲得に成功し、DVDの売上好調や、メディアへの露出増加にも繋がった。

また「正しい感染対策について、世の中の人に知って貰いたい」という思いが強くなり、Twitterにて、アルコール消毒の正しい使用法を紹介したところ、「知らなかった」「ためになった」と予想以上の反響が。こうした取り組みも、知名度拡大の後押しになったという。

     *     *     *

攻めの姿勢で切り拓こうとする里咲さん、出来ることを見極め全力を注ぐ桃里さん。冒頭にも書いた通り、2人のように現状に対応できているのは、珍しいケースだ。

里咲さん曰く「多くのアイドルにとって、実際にファンに会うことが人生の一部で、肉親に会えないくらいのダメージがある。現場の空気や、ファンの人同士の会話、ライブの感想を言い合う飲み会など、交流を通して別の楽しさも生まれたりする。コミュニティがバラバラになりつつあるのは、アイドルもファンの人も寂しいと感じている」とのこと。

対応しきれず、苦しみ混乱しながらも、それぞれ試行錯誤を重ね、新たなモノを生み出そうとする中、アイドル界は今後、どのようになっていくのだろうか。

【あわせて読む】芥川賞『推し、燃ゆ』にみるアイドルを“推す”意味とは?「現実逃避ではなく現実と向き合うために」

▽里咲りさ
アイドル、シンガーソングライターとして活動しながら芸能事務所・フローエンタテイメントの社長も務める。@risamusic925

▽桃里れあ
グループ活動を歴て、現在はグラビアアイドルとして活動する傍ら現役看護師としても勤務。1stDVDはAmazonランキング1位を獲得した。@rea_momosato

RECOMMENDED おすすめの記事