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UPDATE|2022/05/15

脳科学者・中野信子が語る“不倫”が大バッシングされる理由「個人が社会正義を行う構造」

中野信子 撮影/松山勇樹



──今回、『不倫と正義』の対談相手に三浦瑠麗さんを選んだ理由を教えてください。

中野 お互いの関心領域としては、だいぶ離れているんですけれども、それにも関わらず、不倫問題に関しては意見が一致するなというのを、三浦さんのウェブ記事などを読んで感じていました。この方と不倫について立体的に、それぞれ違うところから光を当てて話してみると面白いんじゃないかなということでご相談をしたのがきっかけです。

対談という形で、不倫が増えているのは社会構造の綻びなのか、それとも何かの過渡期に我々がいるのか、ということを論じてみたかったんです。対談相手が男性ですと、女性から見えているものを拾ってくれない恐れがあるので、そういう面でも同性の方が、網の目が細いんじゃないかという期待もあってお願いしました。

──ここ最近、芸能人に対する不倫バッシングが激化していますが、どのような社会的背景があるとお考えですか?

中野 社会正義にコミットしたい人が増えたんだなという現象として自分は捉えています。というのもコロナ禍で、どうしても社会のルールというものに目が向けられる機会が増えました。人々の不満が募っていくと、「マスクをしていない」ということから始まって、みんなのルールを破る人に目が向いてしまう。「この人は咳をしているから、自分まで不利益を被るんじゃないか」みたいな形で、ルールを破った人に対する視線がどんどん厳しいものになって、どんどん強めていくような圧が社会的にかかっていきます。

そうすると不倫は極めて個人的なものにもかかわらず、社会のルールを破る者として捉えられてしまう。そこへメディアの力も手伝って、声を持たなかった個人が社会正義を行うことができるという構造が、特にSNSの発達によって強化されました。

AUTHOR

猪口 貴裕


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