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UPDATE|2019/02/24

ノストラダムスはアイドル後藤真希の誕生を予言していた

モーニング娘。と山一證券、モーニング娘。と小泉構造改革、モーニング娘。とミレニアム問題……。ニッポンの失われた20年の裏には常にモーニング娘。の姿があった! アイドルは時代の鏡、その鏡を通して見たニッポンとモーニング娘。の20年を、『SMAPと、とあるファンの物語 -あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど-』の著書もある人気ブロガーが丹念に紐解く。『月刊エンタメ』の人気連載を出張公開。3回目は1999年のお話。

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1999年6月、人々はみなどこかで、この世の終わりを意識していた。

「1999年7の月 空から恐怖の大王が降ってくる」

始まりは1973年に出版された五島勉『ノストラダムスの大予言』の一節である。華々しい高度経済成長の影に潜んでいた公害問題が一気に噴出した70年代、汚れた空や川に未来の破滅を感じていた日本で、フランスの占星術師・ノストラダムスの予言集を元に1999年の人類滅亡説を語ったこの本は一躍ベストセラーとなった。そしてその後も戦争、災害といった日常の破壊が訪れるたびに「終末ブーム」の記憶はそこかしこで呼び戻され、ついにノストラダムスの予言を忘れられないまま、日本は〝1999年7の月〟を本当に迎えようとしていた。

一方、1999年6月のモーニング娘。もまさに転換点を迎えようとしていた。その引き金となったのは同年1月に発表された、福田明日香のこの言葉である。

「私は今年の春に、モーニング娘。を辞めることになりました」

前年にサードシングル『抱いてHOLD ON ME!』で初のオリコン1位を獲得したモーニング娘。は、その勢いを頼りに第40回日本レコード大賞最優秀新人賞の受賞、そしてNHK紅白歌合戦への初出場をやっと叶えたばかりだった。

福田の脱退理由は「普通の生活に戻りたい」。この14歳の切なる願いは直後に「卒業」という前向きな表現で語られるようになっていくが、当然、福田以外のメンバーは想像もしなかった日常の破壊の到来に、大きなショックを受けていた。

「早過ぎる、まだ一緒にやりたい」(石黒)
「こんな大事なときに」(飯田)

メンバーの喪失感と連動するように、モーニング娘。のCD売上は福田の卒業後、急速に勢いを失い始める。福田卒業シングル『Memory 青春の光』が累計売上41万枚だったのに対し、7人で出した次のシングル『真夏の光線』は累計売上23万枚。リーダーの中澤によればすでに「ものすごい危機感を感じていた」という。

しかもその流れの先に待ち受けていたのは『ASAYAN』(テレビ東京)で企画された歌手・鈴木あみ(当時・以下同)との「CD売上対決」である。

同じ1998年に同じ『ASAYAN』からデビューした鈴木あみは、当時その飛びぬけたルックスとスター性で若者を中心に絶大な支持を受けており、対決直前にはすでにファーストアルバム『SA』がミリオンセールスを記録している。人気に陰りの出てきたアイドルグループと、ブレイク街道まっしぐらの歌姫。その最新シングルのオリコン初登場順位を競わせると番組が発表したのは、1999年6月27日のことだった。

そして間もなくやってきた、1999年7月。1週間、2週間と日にちが経ってもまだ人類は滅亡していなかったが、それよりも先に現実となったのは日本のアイドルグループ・モーニング娘。における過去最大の「解散の危機」であった。

この売上対決にあわせてモーニング娘。が発表したのは6枚目のシングル『ふるさと』。絶対的エースの安倍なつみをメインボーカルに据え、他6人のメンバーは全員コーラスという、グループとしてはかなりの勝負作である。しかし発売から11日後の7月25日、『ASAYAN』で流れたのは自身初のオリコンシングルチャート1位にとびきりの笑顔を見せる鈴木あみと、敗者となったモーニング娘。7人の暗い表情だった。
AUTHOR

乗田 綾子

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