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UPDATE|2019/05/19

Perfumeの躍進、その時モーニング娘。は……高橋愛、新垣里沙の苦闘

モーニング娘。年代記 第11回

アイドルは時代の鏡、その時代にもっとも愛されたものが頂点に立ち、頂点に立った者もまた、時代の大きなうねりに翻弄されながら物語を紡いでいく。結成から20年を超えたモーニング娘。の歴史を日本の歴史と重ね合わせながら振り返る。『月刊エンタメ』の人気連載を出張公開。11回目は2007年のお話。



2007年5月6日。満員のさいたまスーパーアリーナで、ステージ上の新垣里沙は率直な気持ちを、この日の主役である吉澤ひとみに打ち明けた。

「吉澤さんが卒業しちゃうと、私の中でのモーニング娘。がいなくなっちゃうんです」

この一瞬だけ、新垣はモーニング娘。のメンバーではなく、テレビの中の国民的アイドルに憧れ続けた1人のファンに戻っていた。新垣の言う通り、ASAYANの公開オーディションを経て2000年に加入した吉澤ひとみは、中澤裕子や安倍なつみ、後藤真希らとともにモーニング娘。の大ブレイクを支えた存在である。そして2005年に矢口真里がグループを脱退して以降は、吉澤は4代目リーダーに就任するとともに同時に最後の黄金期メンバーにもなり、過去と現在のモーニング娘。を繋ぐ重要な役割を担っていた。

「吉澤が卒業することで、中澤さんの下でやってたメンバーがいなくなります。モーニング娘。も第2章に入った気がするな。何かあったときに『モーニング娘。はこうだったんだよ』という原点を知ってる人がいなくなるから」(吉澤ひとみ)(※1)

そしてこの吉澤の卒業からわずか25日後には、やはりASAYANオーディションを経てハロー!プロジェクト、そしてモーニング娘。に加入した藤本美貴も、後に夫となる庄司智春との交際報道の影響でグループを脱退してしまう。

こうして2007年、結成10周年を迎えたモーニング娘。はわずか1カ月足らずの間に一気に世代交代が進み、完全に黄金期世代がいなくなった新生グループとして、新たな船出のときを迎えることになったのである。

“第2章”のモーニング娘。は新たにリーダーとなった高橋愛、またサブリーダーとなった新垣里沙を中心に、亀井絵里、道重さゆみ、田中れいな、久住小春、そして吉澤の卒業直前から合流した8期メンバーの光井愛佳、ジュンジュン、リンリン、あわせて計9人で始まる。

しかし本来ならば頼れる船頭役でなければならないはずの新リーダー・高橋は、実はこの頃、ずっと不安を抱えたまま日々を過ごしていたという。
AUTHOR

乗田 綾子


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