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UPDATE|2023/03/13

累計80万部超え、CoCo壱、吉野家、幸楽苑…“人気チェーン公式ファンブック”ヒットの理由

左から「CURRY HOUSE CoCo壱番屋 FAN BOOK」、「もっと! 吉野家 FAN BOOK」(ともに宝島社刊)


このほか、企業側からはこんな感想も届いたという。

「あるファンブックで『社員考案のアレンジレシピ』を掲載したところ、実際に店内でそのアレンジレシピを試しているお客様を見かけたという声も届きました。すべてのファンブックには、各企業に協力してもらって『会計10%オフ』とか『トッピング無料』といったサービスが受けられる『パスポート』をつけています。そのお陰で、本を読んで気になった方が気軽に店へ行けるようになっているのです。もちろん、お得な内容なので『パスポートだけゲットできればいい』という気持ちで購入される方も多いですが、『パスポートが欲しくて買ったけど、本自体も面白かった』という感想はかなりいただきます」

同シリーズのパスポートはすべて、有効期間内であれば何度でも利用できる仕組みだ。山崎氏が1回限りではなく、パスポートにこだわった一番の理由は、読者に“ワクワク感”を届けたかったからなのだとか。

「本の中で数々のメニューと、そのこだわりを知ると、『あれも食べたい、これも食べたい』という気持ちになると思います。バイキングやビュッフェで沢山の料理を目にした時のような感覚です。そんなとき期間中なら何度でも使えるパスポートだったら、『今日はこれ、次はあれ』というふうに、いろいろなメニューを楽しむことができます。その“ワクワク感”を味わってほしかったからこそ、何度も使えるパスポートにこだわりました」

パスポートの内容はチェーンごとに異なるが、ファンブック内のページもチェーンごとの色が出ている。たとえば、回転寿司チェーンの「はま寿司 FAN BOOK
」なら種類豊富なサイドメニュー・ラーメンの特集ページ、カレーチェーンの「CURRY HOUSE CoCo壱番屋 FAN BOOK」なら社員によるトッピング総選挙のページ、「もっと! 吉野家 FANBOOK」なら「黒い吉野家」というレアな店舗への潜入ルポページなど、それぞれのオリジナリティを打ち出している。

「開発者が語る人気メニューの誕生秘話、そのチェーンのトリビア、経営者や名物店員へのインタビューなどは、全ムック共通で載せています。これ以外ですべてのシリーズに共通しているのが、そのチェーンの“ファン”である芸能人へのインタビューページです。うどんチェーンの『はなまるうどん FAN BOOK』のファンブックでは、お笑い芸人のティモンディ・高岸宏行さんが登場してくださいました。高岸さんは過去に『はなまるうどん』でアルバイトをしていた経験があって、話がとてもリアルで面白かったんです。読者にとっても自分たちと同じ“ファン”の立場から聞く裏話は興味深いし、企業側にとっても『高岸さんはこんなふうに働いていたんだ』と驚きがある。『はなまるうどん』では高岸さんの話を聞いて、社員の意識が高揚したそうです」

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