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UPDATE|2023/03/26

「アイドルの恋愛に賛成? 反対?」2000人アンケートで分かった変化、反対は1割

画像はイメージです


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今回のアンケート結果について、アイドル文化に造詣の深いプロインタビュアーの吉田豪氏に話を聞いた。

「やはり強硬な恋愛反対派はネット上の声が大きいだけってことで、人数的にはそんなに多くないんですよね。つまり声が大きい人が目立っているということだと思います。Twitterなどで目立つ恋愛反対の意見は、ガチ恋(アイドルを真剣な恋愛対象と捉えるファン)勢が『許せない!』とヒートアップしていることも多いですから」

恋愛に対する意見の変化についてはこう指摘する。

「よくあるのは、本気で『恋愛なんてしないでくれ!』と願っていたのに、 メンバーが年齢を重ねると『早くいい結婚をしてくれ』と変節する現象。ガチ恋的な感覚から、親みたいな感覚に移行するんだと思います。あるいは最初から親のような感覚で恋愛禁止を言い渡していたのかもしれません。自分の娘に対して『頼むから変な男とだけは付き合わないでくれ』と注意するように」

「アイドル側にとっても、大きな変化がここ数年でありましたよね。結婚するにあたって『アイドルは辞めなくちゃいけないものだ』と思い込んでいたけど、『続けることも可能』と考えるようになったわけですから」

最後に、アイドルの恋愛について吉田氏の考えを聞いた。

「そもそも恋愛禁止にすること自体に無理があるんです。それって人権上の大きな問題ですから。当たり前の話として、事務所サイドも契約書に『恋愛禁止』などという文言を書けるはずがない。だけどアイドル関係の取材をしていると、恋愛禁止を愚直に守ったはいいけど、現役を卒業してからホストみたいな世界にいきなりハマって痛い目にあったって話も聞くんですね。恋愛とか出会いに免疫ができていないものだから、いきなり派手に失敗しちゃうんです。

何を言いたいかというと、『恋愛禁止を守れ!』みたいなことを強引に押しつけると、人生経験があまり積まれないまま社会に放り出されて、人生をよくない方向に捻じ曲げる恐れがあるということ。そこは注意したほうがいいと思います」

「日本のアイドルは実は多様性があるんです。K-POP的なアプローチをするグループもあれば、スキル重視のグループもある。一般の方はアイドルと言われてもAKB48や坂道グループやももクロくらいしか知らないかもですが、それは本当に一部に過ぎなくて。その多様性という枠の中に『恋愛禁止』というグループもあれば、『結婚・ 出産もOK』というグループもあるんです。今は女性アイドルグループでも女子ファンがメインとなっているところもあって、そういうところなら恋愛発覚で人気が急に下がるということはないでしょうし。

アイドルになった以上、徹底的に恋愛禁止を守り抜くようなストイックなメンバーが現れてもボクはいいとは思う。でも、それは自発的にその道を選んだ場合のことであって、全員にそれを強要するのは間違えていると思います」

多様性こそが、日本のアイドルの面白さ──。それは海外のファンからも指摘される重要 なポイントだ。恋愛を是とするのも、非とするのもアイドルたちが自発的に選び、ファンはそれを応援する。それが令和のアイドルのあり方なのかもしれない。

(取材/小野田衛)

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