ミュージシャン・超歌手の大森靖子が毎回、気になる女の子たちをピックアップしてその魅力を紹介する『月刊エンタメ』の連載「もはや!絶対彼女」をwebでも公開。今回は6月4日・5日に行われた日本武道館公演を観て、感じたことを語ります。
楽しみだったのをただ絶望して帰り腐った帰り道、わけの分からない駅で降りた。タクシーに乗ろうと思ったのにアプリでもまったくタクシーの拾えない住宅街の中にポツンとある駅だった。二度と来ることないだろう。夜が夜ともわからないほど霞んで見えた。だけどその日あったどんなことより記憶に残る瞬間だった。人も景色も10倍速、藍色か灰色に似ていてそれでも透明色だった。
好きだったものが確実に力をつけてすさまじくなっているのに心が受け付けなくなっているのはたぶん、こちらの体調のせいだから、またいいときに会えたらいいな。
いやでも分かってる本当は。好きな人は永遠に好きだもの。永遠2号は永遠ではなかったのかな、だったらあの季節はなんだったのだろう。
こういうこと書くと大体、結婚してんだろとかビッチ臭みたいなこと言われるけど、そういう形の好きの相手はだいたい女性。まあ女性ならなぜアリなのかというのも意味がわからなくもある。女だから好きっていうのではないけど女という感情を持つ生き物が好きなんだよ何が悪い。夫は私が女性相手ならレズ風俗に行っても構わないと言っているし、しかしレズ風俗のキャストさんはやはり一般的な風俗より人数が少ないため、パッと入って誰があてがわれたり指名できたりするわけではない。予約制である。性欲なんて秒でやりたくなったり、やりたくなくなったりするのだから、「今やりたい!」というときでないと、まず予約してまで行くものではない。
そして私が好きなタイプは、ほっぺたが太ももみたいな、大福みたいでちょっと笑顔が儚い白くて髪の長いみたいな、見た目やオーラがやわらかそうな女の子女の子した女の子である。しかし私は女性に対して童貞を貫くことを決めて生きてきてしまった身。手ほどきをお願いしたい気持ちがもちろんある。気持ちよくさせる自信なんてあるわけがないし、イチャイチャとかもなんかしちゃいけないんじゃないかなって思っちゃうし、極論、ただただマッサージされるだけで良い。接客してます! って感じで。
でもそうするとあちらが攻める側になるのだけど、攻める側でありたい女性は見た目が短髪のクールな写真の方が多い。そうなるとそういうことをしたい、ということにおいては、少しタイプとズレてしまう。稀に両方いけますよ、という人がいて、でもどう見ても写真から醸し出すオーラが自分のことを好きそうというか、私の音楽聴いてそう……ってなって、それは気まずいし恥ずかしいなぁ…となり、結局レズ風俗に行くことができない。