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UPDATE|2019/07/14

高橋愛「やっぱり悔しかった」プラチナ期 真っ只中でモーニング娘。が考えていたこと

モーニング娘。年代記 第13回

アイドルは時代の鏡、その時代にもっとも愛されたものが頂点に立ち、頂点に立った者もまた、時代の大きなうねりに翻弄されながら物語を紡いでいく。結成から20年を超えたモーニング娘。の歴史を日本の歴史と重ね合わせながら振り返る。『月刊エンタメ』の人気連載を出張公開。13回目は2009年のお話。


高橋愛、新垣里沙、亀井絵里、道重さゆみ、田中れいな、久住小春、光井愛佳、ジュンジュン、リンリン。約2年に渡るメンバー固定の末に、彼女たち9人が同じステージで歌い踊った最後の1年、そこに何があったかをきちんと振り返るには、まず先に当時の空気を抑えておく必要がある。

彼女たちがモーニング娘。と呼ばれていた2009年は複数の分野で歴史が大きく動いた年でもあるのだが、そこにはいずれも、「民意」が共通のキーワードとして深く結びついていた。中でも象徴的なのは夏の衆議院議員総選挙における自民党から民主党への政権交代、そしてやはり同年夏に行われた、初のAKB48選抜総選挙である。

まず政治分野における2009年の「民意」を振り返ると、この年の選挙で自民党が歴史的敗北を喫し、政権与党の座から下ろされることになった。背景には、2007年に表面化した年金記録問題、そして2008年に起きたリーマン・ショック(世界金融危機)の影響がある。

年金記録問題では旧社会保険庁のミスにより、約5000万件の年金記録が“宙に浮いていた”ことが発覚。またリーマン・ショックでは一時持ち直していた日本経済が再び大ダメージを受けてしまうのだが、当時の自民党政権はというと、短命内閣に相次ぐ失態・失言のイメージが重なり、国民からの信頼を日に日に失っていた。

「期待がもてない」「リーダーシップがない」。2009年当時の時事世論調査による自民党政権・不支持理由のトップワードには、数々のトラブルが国民生活を直撃する中、期待に応えられない自民党の舵取りへの国民の辛辣な評価がそのまま表れている。

それを踏まえると直後の自民党の敗北とはすなわち「明快な変革のストーリーをもって皆の期待に応えてくれる主人公」を多くの国民が待ち望んでいた、そんな渇望の証明であったともいえる。

AUTHOR

乗田 綾子


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