──明確に、「この世界でやっていこう」と思ったタイミングってありますか?
桜井 このタイミングっていうのがないんですよね。お芝居を始めて何年か経っても、どこかでやらされてる感じみたいなものがあって。「やりたい!」という気持よりも先に作品が決まっていくというか、運が良すぎてしまったというか。でも、いつからかお芝居が自分のやりたいことに変わっていました。本当にやっていくうちになんですけど、がむしゃら感が出たのは最近のことだと思います。
──やらされている感がなくなって、お芝居への向き合い方も変わりましたか?
桜井 だいぶ楽になりました。たとえば自分が思っていたような評価を得られなかった時に、やらされている感覚があるとすごく辛いんですよ。自分が納得してやってるなら、どうすればよかったんだろうって、いろいろ考えられるんですけど、最初はそうじゃなかったからだいぶしんどかった。常にどこかで辞めたいっていう感覚があったような気がします。今は、「こういうパターンもあるんです」「これもできるんです」って、ちょっと強気な自分がいるというか。そういう心持ちで今回の映画『魔女の香水』にも挑みました。宮武由衣監督も提案を受け入れてくださる方だったので、現場でも自分の意見を、どんどん言わせていただきました。
──初めて『魔女の香水』の脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
桜井 私が演じる若林恵麻が、香水の力で人生を切り開き、どんどん逞しくなって成長していくストーリーにわくわくしました。実年齢よりも上の役を演じることが初めてだったので、大丈夫かなっていう不安もありつつ、その振り幅をどう演じようかと考えながら脚本を読んでいきました。