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UPDATE|2023/06/18

『鬼滅の刃』は70分、『推しの子』は90分、30分越えアニメが切り拓く海外市場のさらなる可能性

『鬼滅の刃』12巻と『推しの子』1巻(ともに集英社)

『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』(フジテレビ系、毎週日曜 23時15分~)の最終回が、70分拡大して18日に放送される。竈門炭治郎達は現在、上弦の肆の半天狗と交戦中。クライマックスに向かってその戦いは激化しており、最終回が70分ということは、鬼殺隊が半天狗を打ち取るまでの壮絶なバトルシーンがノンストップで描かれることだろう。

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70分ではなく30分を2本にわける、という選択肢もあったと思う。しかし、分割しないことで緊張感を持ち、没入しながら『刀鍛冶の里編』の行く末を見届けることができる。18日の夜は最高に贅沢な時間を過ごせるはずだ。

 『鬼滅の刃』シリーズは、これまでも30分という一般的な放送時間の枠からはみ出すケースが珍しくない。2期の『遊郭編』の第1話は1時間、最終回は45分に拡大している。第1話は『無限列車編』のその後が描かれており、命を燃やして炭治郎達を守った煉獄杏寿郎という人物がメインの話。各話30分の2話にわけると杏寿郎への気持ちの高まりは区切られてしまう。しかし、30分にまとめると駆け足になる。1時間にしたことで、杏寿郎が抱えた葛藤、その勇敢さをしっかり感じられる内容になっていた。

 また、最終回は、上弦の陸の妓夫太郎と堕姫を打ち取ったところから始まる。戦闘シーンはなく妓夫太郎と堕姫の兄妹の過去が軸で、正直派手さはない。しかし、この兄妹がどれだけ凄惨な環境で育ってきたのか、さらには炭治郎と禰豆子とはまた違った兄妹愛の形が見られた。

このエピソードも45分にしたことで、妓夫太郎と堕姫という“人間”を理解でき、『鬼滅の刃』シリーズに一貫して見られる「罪人はいるけど悪人はいない」というメッセージを感じられるものとなった。
AUTHOR

望月 悠木


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