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UPDATE|2023/07/15

相撲を諦め芸人に…『サンクチュアリ』出演の義江和也が語る亡き父との約束「親父、見てるか?」

義江和也 撮影/松山勇樹

義江和也、31歳。相撲歴13年、職業は芸人。大相撲の裏側を描き切ったと話題騒然のNetflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』に出演したことで運命が大きく変わりつつあるが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかったと振り返る。学生時代は真剣に角界入りを考えていたほど相撲道に打ち込んだにもかかわらず、なぜお笑いの道を選択するに至ったのか? 堅忍不抜、不撓不屈の精神で我が道を邁進する男の波乱万丈ストーリーに迫る。

【前編はこちら】元力士芸人・義江和也『サンクチュアリ-聖域-』出演で人生激変「街で外国人から声を掛けられるように」

【写真】『サンクチュアリ』では見せなかった朗らかな笑顔で笑う義江和也

義江和也が最初に土俵に上がったのは、小学校4年生のときだった。日本大学相撲部出身で、卒業後も同大学に職員として勤務していた父親の影響である。相撲に対する興味などまったくなかったというが、巻き込まれるようにして週1ペースの稽古が始まっていく。

「『ゲーセンに連れていってやる』という甘い言葉に惑わされたんですよ。それで気づいたら日大相撲部に通う羽目になりました(笑)。実際、日大から家までの帰り道にゲーセンには寄らせてくれたんですけど、『話が違うじゃん。なんでワンクッション入る? 相撲は本当に必要なの?』と子供心に疑問を持っていました。とはいえ、親父なりに期待もあったのかもしれないですね。きょうだいの中で自分が一番身体も大きかったですし」

義江少年は小4時点で160cm弱、70kgオーバー。小6で170cm以上、90kgあったという。小6で世田谷区のわんぱく相撲大会に出場すると、3位入賞。地元新聞には「90kg超えのモンスターが現れる!」と派手に報じられた。将来を嘱望されていたことは間違いないが、周囲の期待をよそに中学ではバスケ部に入部する。

「そこで90kgあった体重も70kgまで激減しちゃったんですよ。一応、日大相撲部に通うことだけは続けていたんですけど。ところが中3になる頃、わが家で大きな出来事がありまして。親父が亡くなったんです。親父の遺言として『相撲だけは続けてほしい』というのがあったので、『イチから真剣に教えてください!』と日大で本格的に相撲を習い始めることにしました」

自分には相撲しかない──。その思いは真剣そのものだった。中学を卒業すると、照ノ富士、琴光喜、逸ノ城など多くの力士を輩出した名門・鳥取城北高校に入学。寮生活を送りながら土俵で汗を流し続ける。女子生徒との恋愛や放課後のカラオケといった浮ついた青春生活は、もちろん皆無。奥歯を喰いしばりながら、朝から晩までぶつかり稽古を続けるだけの毎日だった。

AUTHOR

小野田 衛


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