FOLLOW US

UPDATE|2023/08/02

ゴールデンボンバー 鬼龍院翔が語るステージ論「音楽性よりエンタメに振り切ったほうが夢破れない」

ゴールデンボンバー 撮影/菅沼剛弘



「まず、いろんなライブを見学に行けばいいと思います。そうしたら、客席でスマホをいじりたい気持ちを自分で体感できるんです。怒ってる場合じゃないってことがわかると思います。お前のスタート位置ここだろって。逆に、なんで最初からお客さんがあなたに釘付けになると思ったのか、聞きたいです」

辛辣だが、まったくもってその通りだ。ちなみにヴィジュアル系のライブに行くとバンド側が「振りの強要」をしてくることがままある。が、鬼龍院氏はこれも「強要してはいけない」と強調する。

「僕もそういうライブを目撃したことがあって。後ろで体育座りしている女の子に、『前来いよ!』って煽ることで、どんどん会場の空気が悪くなっていく。そういうことを客席で体験するっていうのが大事だと思います。反面教師としてありがたく勉強させて頂いてます」

そもそも振りをしたくても、振りのルールがよくわからないこともあれば、40代にもなると足腰が痛い、四十肩などいろいろ事情も出てくるものだ。

「本当にその通りで、フロアのお客さんがみんな同じ状況だと思っちゃいけないと思うんですよね」

そう思うようになった背景には、20歳の頃、耳の聞こえない女性を好きになったことがあるという。

「世の中、いろんな要素を持った人がいることに、思いを巡らせるようになりました。仮に僕がライブで『手を上げて』って言った時、上げない人がいても何か事情があるかもしれない。そもそも聞こえてないかもしれないし。そういうことを考えると、自由に楽しんでほしいということに尽きると思うんですよね」

だからこそ、お客さんのノリがいい悪いも気にしない。

「ノリが悪いとか、口が裂けても言っちゃダメだと思うんですよね。だって、僕らはみんながノってるところに出ていく仕事ではなくて、みんながノッてないところをノらせる仕事なので。ノリが悪いと感じたら、僕なら『みんななんか、集団で悩みでも抱えているのかい?』とか、そういう言い方になると思うんです。だって、ライブとかお芝居を見に行って、自分が楽しんでるつもりでも『ノリが悪い』って言われたらいい気はしないですよね」

そう思うのは、自らが「ノリが悪い人間」だからだという。

「自分がライブを見に行く時、絶対動かないんで(笑)。手を上げなきゃいけない空気もちょっと嫌なんですよね。自分だけ目立ってないかな? とか気にしちゃうので。だからノリが悪くても楽しんでる人間もいるかもしれないし、そこはあまり気にしない方がいいと思います」(後編へつづく)

【後編はこちら】ゴールデンボンバー・鬼龍院翔が語る先輩GLAYからの学び「バンドを続けることが一番大事」

RECOMMENDED おすすめの記事