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UPDATE|2023/10/11

体当たり演技が話題AKB48から女優へ…増田有華「芝居に無縁だった私がもらった財産のような言葉」

撮影/武田敏将


演出の宮本亞門にも多くのことを学んだ。

「おちゃめで子どものような面もあれば、いつも温かく見守ってくださって。東京公演で、ある日のステージが終わって、その日の修整点を話し合っているときに、亞門さんは帰られてもいい時間なのに、最後まで残ってくださって。『今信じているもの、やってきたものを、そのままやればいいんだよ』という言葉をかけてくださって。それも自信に繋がりました」

約一か月半に渡る公演を、単独主演で乗り切った。

「Wキャストではなかったので、私が体調を崩したら、この公演は中止になる。今だったら大きなプレッシャーですけど、当時21歳の私は無敵状態というか、怖さを知らないので、『大丈夫っしょ!』みたいな感じで。成功している絵しか想像していなかったら、体調も崩さなかったですし、寝不足で多少調子悪くても、『あ、声出るわ、ラッキー』って落ち着いて舞台に臨めたんですよね。

両親が小さい頃から、『有華は大丈夫!』って言ってくれていたので、自分を疑うことなく常にチャレンジしたいという性格に育ちました。失敗しても怪我しても死にはしない、死ぬこと以外かすり傷みたいなところは今もありますね」

『ウィズ~オズの魔法使い~』で高い評価を得た増田は、現在に至るまで数多くのミュージカルに出演している。

「言ってしまえばミュージカルってセリフを歌っているわけですから、メロディーに合わせて綺麗に歌うのとは違うんです。だから最初の頃は、『綺麗に歌い過ぎている』と演出の方から言われることもあって。経験を積んでいくうちに、歌もお芝居の一つなんだと理解できるようになりました。今、『お芝居が好き!』と胸を張って言えるのは、お芝居だけではなく、歌も歌ってきたからというのがあります」

映画『Love song』では、クライマックスで花が歌うシーンが用意されている。

「『Love song』には拳銃も出てくるし、薬物も出てくるし、暴力団も出てくる一方で、ひたむきに人を愛する純粋な気持ちが描かれています。初めて脚本を読んだときに、口下手で上手く言葉にできない感情を、歌に乗せて表現する子なんだと共感しました。私にとって歌は、衣食住ぐらいかけがえのないもの。

いまだにAKB48の頃から応援してくれているファンの方は『歌の上手い子』と言ってくれますし、私の歌を聴いて泣いてくれる方もいて。これからも自分のためだけではなくて、誰かのためにも歌い続けていきたいですし、そういう思いを込めて花としても歌いました」
AUTHOR

猪口 貴裕


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