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UPDATE|2023/11/25

『ブギウギ』草なぎ剛演じる羽鳥善一はなぜ魅力的? 唯一無二の演技力を支える“静の演技”とは

草なぎ剛演じる、大阪生まれの作曲家・羽鳥善一(朝ドラ『ブギウギ』公式アカウントより)



草なぎはそれこそSMAPとして活動していた頃から役者として高く評価されていたアイドルだった。だがここ最近は、さらに演技力の高さに拍車がかかっているように思える。

例えば2020年に公開された映画『ミッドナイトスワン』では、トランスジェンダー女性として生きる主人公・凪沙という難しい役どころを、歩き方1つにまでこだわったリアリティのある演技で熱演していた。草なぎはこの作品で、第44回「日本アカデミー賞」の最優秀主演男優賞を受賞している。

そして2020~2021年度のNHK大河ドラマ『青天を衝け』には、徳川慶喜役として出演。武士の世が終わろうとしている江戸時代末期の最後の征夷大将軍を、どこか悲哀のある落ち着いた演技で表現していた。一方、今年1月期のTVドラマ『罠の戦争』(フジテレビ系)では、主人公の鷲津亨役を担当。連ドラ主演は6年ぶりということだったが、静かな人柄ながらも心の内に熱い復讐心を隠している議員秘書を演じてみせた。

いずれの役柄にも共通して言えることは、“静の演技”が素晴らしいという点だろう。感情を前面に出したオーバーリアクションな演技ではなく、細かい表情や仕草からさまざまな感情を読み取らせる……。そんな独特の個性を磨き上げることで、強い存在感を発揮している。

『罠の戦争』で俳優・田口浩正が演じた同僚の秘書・虻川と対峙するシーンでも、鷲津としては感情を露わにする場面だったが、完全にボルテージを上げるのではなく、普段怒り慣れていない人がそれでも感情を相手に伝えようとするような抑えた演技だった。そんな派手ではないが“丁寧”な演技が、唯一無二と言われる所以なのかもしれない。

記号的な表現に頼ることなく、キャラクターの心情を1つ1つ丁寧に組み立てていく役者・草なぎ。『ブギウギ』もその演技力で今後さらに盛り上げてくれるはずだ。

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