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UPDATE|2023/12/06

Aマッソ加納が振り返る、売れなかった“あの頃”「 2人してトガって、社会性が全然なかった」

Aマッソ 加納愛子 撮影/松山勇樹



「やっぱりどこかで芸人になろうとしていたんですよね。1本、道が見えたような気もしました。今回書いたエッセイのエピソードは、全部自分の感情が動いたところがスタートになっています。今につながる感情。まだあのときの気持ちが残ったままやな、みたいな出来事。他人に対しての期待値とか。自分がなんとかできるかもしれない、というのはある種のおごりかもしれないですけど。高校生のときに感じた『自分の言葉で誰かを救えたらな』という気持ちが、芸人を目指すベースになっているので、そういった今も引きずっている感情がわき起こったときのエピソードを選んだ感じですね」

ちなみに今、「芸人が天職だな」と加納が思う芸人は?

「同世代だとランジャタイの国ちゃん(国崎和也)とか。売れるまで税金払えなくて差し押さえになったとか、芸人になってなかったらろくでもないな、と思わせるようなやつですかね。自分は別に芸人じゃなくても、ちゃんとバイトとかできますから(笑)」

本書には、芸人としての活動にも率直な思いをつづっている。相方、村上愛からの感想は?と尋ねると「特にないですね」と笑う。

「それがあいつのタイプというか。昔から好きな人とかも聞かないと言わなかったし。こっちからも感想を聞くのも、なんか恥ずかしいじゃないですか(笑)。でもここ数年は、そういう相方の面白いところをもっと出していきたいなという気にはなっていますね。もともとは私のやりたいこと、『このネタ面白いから!』ということをやってもらっていたけど、あいつはアホの種類が独特なんで。そういう不思議なところを出せるようなネタをやってもいいのかなと思うようになりました」

メディアへの出演も増えた今の状況を「粘り勝ちですよ!」と言い切る加納だが、「正直言えば、やっぱり20代のうちに売れたかったですよね」と明かす。

「振り返って思うのは、芸人になった当初って芸人に対して一筋というか、ネタだけガリガリ書いていたから、もっといろんなものを吸収したり、余白みたいなものがあったらよかったのかなと。別に今、当時に戻ったところでできるかは限らないですけど(笑)。あとは、社会性が全然なかったのもありますね。社会人経験もなく芸人になってしまったので。最近は、一緒に仕事するまわりの方が楽しければいいなって。みんながいい仕事しているなと思える環境であればいいなと思うんですよ。昔は2人してトガっていたというか、仕事への向き合い方が分かってなかった。ネタうんぬんより、それが売れなかった一番の要因やろうなと思っています(笑)」

取材・文/吉田光枝

【後編はこちら】Aマッソ加納が語る今のテレビ「女性芸人にとってやりやすい環境になった、これが当たり前じゃない」

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