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UPDATE|2023/12/29

“画”や“間”が勝利のカギ? 「M-1グランプリ2023」敗者復活戦の熱狂の所以

M-1グランプリ2023敗者復活戦で勝ち上がった、シシガシラ



名曲をハゲについて歌ったように扱うというシシガシラのネタは、浜中英昌がツッコミというよりお客さんと同じ感情を共有する共感者として機能することで、会場の全員が同じことを考えるという“異空間”を作り上げた。そして、その笑いが爆発した瞬間こそモニターに脇田越しの浜中が映し出された瞬間。浜中がツッコむのではなく、うなずいてお客さんに寄り添うことで笑いを誘い、さらには何も気づかず歌を歌う脇田に浜中が笑いをこらえるという「画」は美しささえあった。

山里亮太は自身のラジオ番組『不毛な議論』の中で「もはやあれはカメラマンさんとのトリオ」と評した。ただ一方で、敗者復活戦だけの特別な措置であるだけに、不公平と見ることもできる。実際、敗者復活戦で惜しくも敗れたラストイヤーのヘンダーソンはABCラジオ「ミルクボーイの火曜日やないか!」の中でカメラワークについて「正直あれはズルいですよ。ゆっくりズームで“おもしろバラエティ”になった」と漏らしている。

だが、今後も同様の環境で行われるのであれば、それも要素のひとつとして受け入れるほかない。王者であり、生粋の“お笑いオタク”である高比良くるまも『令和ロマンのご様子』の中でその環境について言及し、画についてもこだわるべきとの発言をしている。

また、審査員の石田明(NON STYLE)はいち早くモニターによる影響の大きさを理解していたと山里は明かし、モニターとの相性がいい「間を使ったネタ」の重要性を話していたという。

目の前にいる観客を笑わせる。当たり前のことだが、そこには周囲の環境も大きく作用することは間違いない。来年もモニターが導入されるのであれば、「画」や「間」が敗者復活戦における勝利のカギとなるのかもしれない。

【あわせて読む】「M-1グランプリ 2023」優勝・令和ロマン、“新星”と呼ばれる2つの理由
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まっつ


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