「時間」ということに紐づけて、次に紹介する作品は『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』。これは僕のオールタイムベスト10に入る映画で、監督は『ラブ・アクチュアリー』などを手掛けたリチャード・カーティスが務めています。
僕は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が大好きで、デロリアンの実車を買ってしまったぐらいなんですけど、そもそもタイムスリップ系の映画が大好物なんです。
『バック~』の主人公マーティは、デロリアンに乗って過去に戻り、自分の父親にアドバイスしたり、未来に行って運命を確かめたりと、何度も時間を行き来して人生を好転させようとします。
他にも同じ時間を何度も繰り返すタイムリープというジャンルもあって、これは『恋はデジャヴ』や『ハッピー・デス・デイ』とか、いろいろありますけど、基本的には同じ時間をなぞりながら、なんとか良い方向に変えていこうというストーリーが多いです。
けれど、この『アバウト・タイム』は、そんな定石を逆手に取った設定で展開します。
主人公のティムは21歳になった時に父親から、自分たちの一族は過去に戻れるタイムトラベル能力があることを伝えられます。それからティムは、主に恋愛ごとに対して能力を使い、過去に戻って何度もやりなおしたりして、なんとか理想の女性との結婚にこぎつけます。
ふたりの間には子供も生まれて幸せな生活を送っていましたが、子供が生まれる前の過去に戻って何かを変えてしまうと、生まれるべき子供が生まれなくなってしまうということに気づきます。
過去を変えると、目的以外のことにも影響が及んでしまう。結果的に未来というのものはコントロールできない、ということなんです。
自粛中は「あの日に戻れたらやり直したい」などと、妄想してましたけど、この映画を見ると、過去に戻って障害を回避したところで、僕自身という人間は結局変わってない。どちらにしても何か違うことでつまづいて自粛する、と考えるようになりました(後編につづく)。
【後編はこちら】有村昆が実体験から語る“自粛中”の方に観てほしい映画3選「ダサくてもいいから、泥臭く」