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UPDATE|2024/05/05

アメリカ人が大好きなゴジラとコングが大暴れ!開き直った怪獣ファーストな物語『ゴジラxコング 新たなる帝国』

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「モンスター・ヴァース」の最新作となる映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』が現在公開中だ。世界中から注目が集まる今作の見どころは!?  映画ライターのバフィー吉川が解説する。

【写真】『ゴジラxコング 新たなる帝国』場面写真

ゴジラとキングコング……。

アメリカ人が大好きな怪獣が盛りだくさんというのだから、お祭り騒ぎになるのは、もはや仕方ないと思わせてくれる。つまりそんな作品であり、前作の『ゴジラvsコング』(2021)で、ゴジラとコングの関係性がある程度描いていたこともあり、今作は始めからテンションの高い作品となっている。

今作は「ゴジラ」生誕70周年記念作と共に、「モンスター・ヴァース」10周年記念作でもあることから、より一層お祭り感は増しているのかもしれない。

一時期は制作会社がレジェンダリー・エンターテインメントと、同じことから、「パシフィック・リム」シリーズとも繋がるかもしれないといわれていたが、結果として、それは実現しなかった。しかし、コミックではパワーレンジャー(戦隊ヒーロー)やジャスティスリーグとも共演するなど、フットワークの軽さもみせており、どこに飛び出してきても、何が飛び出してきても、違和感がないほどに様々な媒体で暴れまわっている。

少し冷静になって考えてみると、「モンスター・ヴァース」とはそんな趣旨の作品だったのだろうか……。という疑問がよぎる人も多いのではないだろうか。

1作目『GODZILLA ゴジラ』(2014)は、人間ドラマをメインとした作品だったのに対して、続編になるにつれて人間の存在感は薄くなっており、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)の作中で渡辺謙が「人類がゴジラのペットなのです」と言っていた通り、正にその状態となった世界が展開されている。

ドラマ部分に関しては、Apple TV+で配信されているドラマ「モナーク: レガシー・オブ・モンスターズ」などで補おうとしているものの、映画に関してはお祭り騒ぎ重視になってきてしまっており、世界規模で議論されてきた人間と怪獣の距離感は、もはや「仕方ない」ということで着地してしまっている。

開き直ったことにより、怪獣たちのバトルというより、プロレスを中心とした構成が可能となったことから、ドウェイン・ジョンソン主演作『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018)を越えて、怪獣プロレス映画というひとつのジャンルを確立したともいえる。

ゴジラといえば『ゴジラ-1.0』の海外ヒットや米アカデミー賞受賞も記憶に新しく、そもそもアメリカがゴジラでどれほど人気なのかという疑問を持つ人も多いかもしれないし、ゴジラ愛は日本人の方が強いと思われているかもしれないが、実はゴジラ愛に関しては、アメリカも同様。というよりもアメリカの方が高いのかもしれない。

その理由は、記念すべき1作目『ゴジラ』(1954)自体が、アメリカでも1956年に公開されており、その後も作品によっては劇場公開の有無はあったとしても定期的に作品を観る環境があった。またそれに加えて、近年ではコミックシリーズが何度も出版されていることもあり、アメリカの子どもが大人になるまでの間、常にゴジラが近くにあるという環境ではあるのだ。


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