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UPDATE|2021/07/29

アイドルからレスラーへ…中野たむ&上谷沙弥が語る「美しさではない、プロレスの凄み」

中野たむ 写真提供/スターダム



「たしかに上谷の動きや飛び技はすごいですよ。でも、試合中に技を綺麗に決めようという部分に気持ちが向きすぎちゃっているんじゃないかな? 技の綺麗さ、正確さを競うんだったら、別にプロレスじゃなくてもいいじゃんって私は思うんですよ。別に上谷のような動きや飛び技をできないから僻んでいるわけじゃないですよ(笑)。動きの美しさを見たかったらシルク・ド・ソレイユとかに行けばいい。プロレスはなにが違うかって『感情』ですよ。人と人の心の葛藤、人と人とが魂を、そして命を燃やして闘うところ。それが私の考えるプロレスの魅力。それが技に乗っかることで見え方は全然、違ってくる。

私は正直、強くないですよ。それでも武道館でジュリアとの髪切りマッチで勝てたのは、もう情念だけです! 以前から私は『赤いベルトは技術のベルト、白いベルトは感情のベルト』だと思ってきたんですけど、私が白いベルトを巻いたことでいろんな選手の感情と共鳴しはじめましたよね。おかげで回数は少ないんですけど、結構、ハードな防衛戦が続いています(苦笑)。上谷との試合は『過去の自分との闘い』でもあるのかな、きっと」

上谷が技を綺麗に決めることに神経を使っていることは筆者も感じていた。たしかに観客の目を惹きつけることはできるが、なかなか感情移入がしにくいタイプのレスラーかもしれない、と。きっと、それは言葉では本人に伝えることが難しい。だから中野たむはプロレスに引き入れた責任として、試合を通じて伝えることを選んだ。

(後編へ続く)

【後編はこちら】スターダム・上谷沙弥が“恩師”中野たむの顔面をビンタ「私たちの『執念のドラマ』は終わらない」
AUTHOR

小島 和宏


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